Categories: 洒落怖

歯車

この怖い話は約 3 分で読めます。

76 本当にあった怖い名無し sage 2011/08/30(火) 00:39:28.07 ID:zflcz8sb0
小さいときの夢の話。
書いてたら下手くそな小説みたいになってしまった。まあ許してください。
霊現象はありません。
ただの不思議な悪夢です。

小学生の時の話だったと思う。
中学生ではなかったが、小5で引っ越しした家だったから、多分小5か小6だと記憶している。

ある日夢を見た。
一面美しい花畑。空は青く、色とりどりの花が咲き乱れていて、まるで日本とは思えないような場所。

そんな景色の中、俺はなだらかな丘のふもとに立っていた。
丘の上には、女の子がいた。
白い清楚なワンピース、麦わら帽子。
子供ながらにかわいい子だな、と思った記憶がある。
彼女は青い空と美しい花畑をバックに、そよ風にワンピースを揺らしていた。

77 歯車 2 sage 2011/08/30(火) 00:40:30.59 ID:zflcz8sb0
俺はその子を知らない。それどころかここからでは顔すら見えない。

しかしどこかで知っている気もする。
どちらでもあるし、どちらでもない不思議な感覚だった。

ただ美しい情景。怖いことなど何もない。
目に入るのはただひたすらに美しい景色。悪い気分ではなかった。

でも俺は、何か不快な焦燥感を抱いていた。ゆっくりとやって来る死を待つような、恐怖の入り混じったどうしようもない焦燥感。
この時点ではそれだけが、ちぐはぐに感じた。

俺は彼女を知らないが、どこかで知っている気もする。しかし顔が見えない。
なら、近くで確かめればいい。
しばらく彼女を見つめた後、俺はそう思い立った。
そして彼女のもとへと歩きだした。

78 歯車 3 sage 2011/08/30(火) 00:42:29.43 ID:zflcz8sb0
その直後、景色がおかしくなった。
壊れたといってもいいし、壊されたといってもいい。

まるで画用紙に書いた景色のように、俺の見ていた世界が巨大な歯車に巻き込まれていった。
禍々しい茶色の巨大な歯車が上下にも奥にも無数に噛み合って回る。それ以外はもう何もない。
ワンピースの彼女も、彼女を取り巻く世界ごと巻き込まれていった。
俺も巻き込まれていった。
あのどうしようもない焦燥感はこれだったのか、と思いつつ俺の意識は途切れた。

そして、目が覚めた。
プレートヒーターって知ってる? 板が暖かくなるヒーターで、冬場にタオルとか掛けとくものなんだけど。
どうやら俺はそれに寄りかかって寝ていたらしい。
子供心に、そのせいで悪夢を見たんだと思った。今でもそう思っている。

でもひとつだけ。
その出来事を境に、風邪を引いたりだとか身体に強いストレスがかかったときには、この夢を見るようになった。
内容も全く同じ。

そして何回かこの夢を見るうちに、一つ感じたことがある。

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