Categories: 洒落怖

山小屋の女

この怖い話は約 3 分で読めます。

255 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/10/01(土) 21:33:13.44 ID:BxN9IQCP0
今年の夏、今までの人生で一番怖い体験をした。
最初は誰かに話すなんて考えられなかったけど、
だいぶ落ち着いてきたので投下。

自分の家は中国地方の山奥の田舎にある。
俺はそこでちょっとした自然愛護のクラブに所属していて、
いろいろイベントを企画したり参加したりしていた。
家から車で20分ほどの所に「○○さん」と呼ばれる山があるんだが、
主にその山を舞台にしてクラブのメンバーで登山や、キャンプなどを催していた。

その○○さんで近々、一般の参加者を募って、クラブのメンバーで
山のガイドをしよう、という企画が持ち上がった。
○○さんの魅力と自然の美しさを、もっと地元の人に知ってほしい、というのが発端。
俺はその企画に賛同し、イベントの下準備などを受け持つことになった。

俺の担当は必要な道具などの準備と、ガイドする場所の選定。
何度も上った山だけに案内はほぼ熟知しているが、
やはり一度山に行って実際に歩きながら考えようと、
休日に一人で○○さんへ向かうことにした。

その日は良い天気で、絶好の登山日和だった。
俺はデジカメを片手に、要所要所でガイドのパンフで使う写真を撮りながら、
純粋に登山を楽しんでいた。

そうして、目標地点まで半分あたりに来た頃。
湧き水の出る休憩所で一休みしていると、少し天気が翳ってきた。
帰ろうかと思ったが、イベント当日では、もっと上の方まで上がる予定だ。
もう少し歩いて、天気が荒れそうなら引き上げようと、荷物を持ち直す。
と、
「―――……」

256 2/7 sage New! 2011/10/01(土) 21:35:22.73 ID:BxN9IQCP0
「?」
何か聞こえた。
人の声みたいだったけれど……と、周りを見渡す。
自分が歩いているのはちゃんとした登山コースだ。別に人と遭遇しても
何もおかしくは無いが、前にも後ろにも人影は無い。
風の音が人の声のように聞こえただけか……と思い直して歩き出すと、

「―――……」

また聞こえた。
聞こえてきた方は、コースからは外れた藪の方からだった。
男とも女ともつかないが、か細く、弱弱しい感じの声。
「誰かいるんですかー!?」
もしかすると怪我でもした登山客がいるのかと思い、声を張り上げた。

だが、返事が無い。
少し躊躇ったものの、藪の中へ向かってみることにした。
気のせいならそれでいい。けれどもし助けを求める人の声だったらと思うと、
確認せずにはいられなかった。
「誰かいるかー!?」
声を上げながら進んでいく。
藪は小柄な人ならすっぽり隠れてしまうほど高く、もし人が倒れていたら
発見は困難だろう。
藪を掻き分けながら注意深く周りを確認して進んでいくと、唐突に、
開けた場所に出た。

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