Categories: 洒落怖

異変

この怖い話は約 2 分で読めます。

数年前、家の建て直し中の仮住まいでのこと。

軽量鉄骨の6軒続きのテラスハウスで、エアコン付きだったので、
冷暖房関連機器は、押入れに入れたままになった。
テラスハウスの西隣、塀の向こうには小さな神社があった。
小さくても、祠の前の2本のイチョウは堂々たる姿で、境内は掃き清められていた。

住み始めてしばらくたったある晩、一緒に引っ越してきた猫たちの様子が変だった。
台所脇の小窓を凝視し、唸ったかと思えば、一目散に2階へと逃げだ。
何事かと、部屋の外も確認したが、何もなかった。
それが幾晩も、幾晩も続いた。
そして、夏の終わりに、異変は私の身の上に降りかかって来た。
夜眠れない、落ち着かなくて、妙に息苦しい。
猫たちの挙動不審も続いていたので、仮住まいの気遣いからイライラしていた。
台所の小窓のそばに、家人が産土様のお札を貼ってくれた。
が、直ぐに剥がれてしまう。何度貼っても、剥がれてしまうのだ。
やがて、私は死にたいと思うようになった。
仕事は順調、家は新築中、なんで死ななきゃならないんだと思いながら、
毎晩のように”死にたい”と口にしてしまう。
形相の変わった私を見て、家人は工務店をせっついてくれた。
そして、予定よりも早く再引越しの日を迎えた。
が、本当に恐ろしいことが起こった、というか、判ったのは引越し当日だった。

押入れに入れたままだった家電類を運び出した時、凍りついてしまった。
白い部分が半分、線を引いたように半分、日焼けでもしたかのように、
色が変わっていたのだ、
扇風機もストーブも、電話機さえ色が変わっていた。

お隣りの神社は第六天さまでした。
私は何か無礼を働いてしまっていたのでしょうか。

bronco

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bronco

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