Categories: 洒落怖

拾った財布

この怖い話は約 3 分で読めます。

289 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/06/03(金) 01:05:29.87 ID:xWKaZupy0
当時の俺は、以前から病気持ちだった妻に転移がみつかり
度重なる「入院→手術」で気持ち的にも金銭的にも余裕がなく
家庭事情に理解のあった上司も移動になってしまい
本当に追い詰められていた

今にしてみたら病んでいただけなのかもしれない
この半年間で俺におきた出来事を書いてみる
看病で休みがちな俺に、新上司は容赦がなかった
名指しで罵倒され、業務上の会話すら拒否、休職願いは握りつぶされた
同僚は同情してくれはしたが、やはり上司には逆らえない
帰れば帰ったで請求書や保険会社への書類など嫌な事しかない
病院にいけば妻は弱気で「自分が死んだらいい人見つけてね」とか言い出す…
もうね、ほんと生き地獄ってのは底がないなw
そんなある日、俺は病院で財布を拾う
ずっしりと重い長財布にはそこそこの大金が入っていて
余裕のない俺にはとんでもなく魅力的に見えたが
非常に気になるものが挟んであった

いわゆる「お札」というものだ

298 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/06/03(金) 01:17:51.90 ID:xWKaZupy0
病院という場所柄、お守りみたいなものかな?と思う反面
お札なんて直接財布に入れるものなのか?とおかしくも感じる
そもそもお札って折り曲げてもいい物なのか妙に気になったのを覚えている

ちなみに恥ずかしながら、財布は自宅に持って帰ってしまった orz
警察に届けようか、これだけあれば何日分のベッド使用料になるか
その時の俺は本気で悩んでいた
翌日の仕事帰り、俺は駅のベンチで自問自答していた
俺けっこう頑張ってるんだけどな…
妻を見捨てて毎日出社すれば上司は挨拶を返してくれるのかな…
たしかそんな最低なことを考えていたと思う
俯いて帰らない理由を考えていると

「そうだな おまえは良くやってるよ」

ベンチの前に立っていた人が俺に声をかけてきた

306 本当にあった怖い名無し sage New! 2011/06/03(金) 01:25:09.40 ID:xWKaZupy0
うはw俺声にだしてたのかwwと顔を上げると
そこには誰もいない…俯いていたとはいえ、コートが見えてたんだけど…
自分で病んでるなーと思いつつも、なんだかうれしかったw
幻聴でも認めてもらったのは久しぶりだったしw

気分的なものなのか、最近は家に帰ると森の匂い的な香りがして
落ち込んでいた俺の豆腐メンタルも癒される
明日も頑張ろう そう思えた
不思議なことに俺が落ち込むと、時々幻聴は俺を励ましてくれた
病んでた俺は「そんなこともある」程度に考えていたけど
幻聴は徐々におかしな方向に変わっていった
「もう充分頑張ったんじゃないか?」

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