洒落怖
人魚の悪夢

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外国に駐在する日本の子どもが夏休みなどに一時的に日本に帰ってくると小学校に一ヶ月間だけ「体験入学」出来きるんです。
私の遠縁にあたるM家と縁あるスピリチュアルな(霊能者の)L家は、I市よりも少し離れた都市A市にありました。
そのA市にも、毎年体験入学を希望するハーフの児童エヴァンジェリン(以下エヴァ)が7月にやってきていました。その話を投下。

毎年八月になると、A市の特定の地域の子どもがお払いして欲しいとL家に殺到するという。
ただ、事情は皆話さない。
とにかく、除霊でもお払いでもお清めでもして子どもをどうにかしてくれと泣きついてくる。
昨年までに百人単位の被害が出たため、L家も不測の事態に備えて、騒動の根本を駆除する事にしようかーとなった。
興信所並みのM家の使用人カイさんを中心とする男衆も、問題の顧客の住所を頼りにA市を調べまわった。
こうして、L家とM家は五年前から、エヴァという少女がA市立AAA小学校に7月の一ヶ月間だけ「体験入学」している事を突き止めた。

そこで、L家とM家は私にAAA小に潜り込んでくれと無理難題を吹っかけてきた。
期間が前回の借り子の時の転校と比べて、一ヶ月というのは短い。
しかし、何も真相が解からないまま転校なんてあまりにも怖い。
エヴァも小5。私も小5。L家の人間が近づくよりも、私が適任だったそうだ。

転校した初日、私は校長室でエヴァと遭遇した。
とても、きれいな子だった。日本離れした顔。髪。目。雰囲気、オーラ。
校長室を出ると、全校生徒が集まる勢いで廊下は子どもであふれかえっていた。
皆、一年ぶりにエヴァに会えて嬉しそうだった。

765 ME ◆KCYjPGrG56 sage New! 2011/04/09(土) 04:20:26.44 ID:aSp2s4b20
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エヴァには、人をひきつける魅力があった。もう、どこかの宗教の教祖様みたいだ。
授業時間以外エヴァは常に次から次へとやってくる相談者の児童を占っていた。
私もすすめられた。断ると、エヴァに腕をつかまれた。
「うちに、きて。おねがい」
つたない日本語というより、何か重大な決断をして言葉を選んで言っていた。
ふと、エヴァに重なるようにして何かが視えた。魚?いや・・・人?

私は、一番信頼出来るカイさんに同伴してもらって、エヴァの家へ向かった。
日本人の母親の親(エヴァにとって祖母に当たる)の家にエヴァは滞在していた。
母親はエヴァを一人で日本に帰国させたそうだ。まだ、若い五十代のエヴァ祖母は困っていた。
「L家には伺おうと思っていたんですよ。でもね、そうなると私もA市から出なくてはならないんです」
「どうしてですか?」とカイさんは聞いた。
「L家のご先祖様に我が家のご先祖様は守ってもらって、ここの土地に住まわせてもらったそうです」
「だから、絶対にL家には迷惑をかけないようにというのが家訓です」
「お気づきでしょう?この家系は男子が早死にする女系一族なんです。この家柄に、男は酷です。だから、娘も今辛い思いをしています」
「娘、つまりエヴァの母親サリは外国でエヴァの父親の看病をしています」
「悪いんですか?」
「サリが側を離れなければ死ぬのは目に見えています。我々は男とは暮らせません。そういう宿命ですから」
「そして、異国の血と混じって生まれたエヴァにはもっと重荷を背負わせてしまいました。力のすごく強い子に生まれてしまったんです」

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  • 匿名 より:

    MEつまんね

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