Categories: 洒落怖

瑕疵物件

この怖い話は約 3 分で読めます。

会社員だった頃は不動産会社に勤めてたんでこういう話は割と日常茶飯事でした。
会社で買った中古住宅を解体してたら白骨が出てきたりとか、競売で落とした物件の
立ち退き交渉に行ったら、その家の住人がぶら下がってたりとかとかとか・・・

そんな中で怖かったというより「なんだ?」と思ったのは、バブルがはじけた後、住宅ロ
ーンの支払いに窮して家主が焼身自殺しちゃったマンションの販売を依頼された時です。

元々、こういう物件は「精神的瑕疵あり」って事で極めて売りにくいんですが、それでも依
頼された限りは売らなきゃいけない。

で、仕方なくオープンハウスってのを開く事になりました。
買いたい人に自由に中を見てもらうってやつです。

実施したのは8月の暑い時期だったのを覚えてます。

朝から準備万端整えて待ってたんですが、来るのは同じマンションの住人が興味本位で見
に来るだけで、かなりウンザリしてました。
そんな時、玄関から「こんにちは~、見せて下さ~い」って声が聞こえました。

「どうぞ~」なんて言いながら椅子から立ち上がり、リビングと玄関との間にあったスリガラス
がはまったドアまで近い付いて行くと、玄関横にある部屋と廊下を挟んだ反対側にある洗面所
を行ったり来たりしている陰が見えました。

「なにやってんだ?」

そう思いながらドアを開けると、そこには誰もいませんでした。
その時は怖いなんていう気持ちはどこにもなくて

「失礼な奴だな」

としか思いませんでした。

34 本当にあった怖い名無し sage 2010/09/23(木) 01:38:55 ID:YQmIG1Xk0
で、またしばらく座っていると、今度は男性の低い声で

「こんにちは」

って声が聞こえました。

「どうぞ~」
なんて言いながら待ってると、年の頃は40代半ばから50代前半くらいのおじさんが入ってきました。

「こんにちは。暑いですね」
「同じマンションの方ですか?」
「ご購入をご検討中ですか?」

なにを聞いても無言です。
それどころか、物も言わずに部屋の中をず~っとグルグル歩き回ってました。
10分はそうしてたでしょうか。
「あ~・・変なのに当たっちゃった。どうやって追い返そう」
なんて事を考え始めた時に、玄関から
「こんにちは~、見せてくださ~い」
という声が聞こえました。
反射的に玄関に顔を向けながら「どうぞ~」と応えておじさんの方を見ると、おじさんがいなかったんです。

「あれ?どこ行った?」

どこ行ったもここ行ったもないですよね。
視線を外したのは物の1秒あるかないか。
その間に出て行けるとしたら神業です。
そういう瞬間っていうのは怖いっていう感覚は全くありません。
と言うよりも脳が理解するのを拒否するんだと思います(笑)
その後はなにをどうしたか全然、覚えてません(苦笑)
気が付いたら会社にいました(笑)

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bronco

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