Categories: 洒落怖

さよなら

この怖い話は約 3 分で読めます。

仕事行く前に投下。
 
これはBと遭遇する前の話だ。
俺の知ってる話としては珍しく後味が良いと言うか、綺麗に収まっている話なので、書いてみる。
初めに言ってしまうが、俺はホテルで働いている。
人手が足りない時なんかは15時間労働したりするが、楽しくて仕方がない。
 
Aとはよく行き着けの食堂で飯を食う。何が有った。最近どうだ。良く会う割には話題は多い。
俺はカツ丼ラーメンを頼み、Aは餃子にビールを頼み、だらだらと様々な事を話す。
なかでも怖い話というか、そういう話は毎回出る。
Aは霊感が凄いヤツで、色々助けて貰ったり、巻き込まれたりもした。
その時の話や、今現在やってることなんかも良く話す。
ただ、その時は珍しく俺が話のネタを提供したんだ

401 自治スレでローカルルール他を議論中 sage 2010/10/13(水) 17:02:30 ID:+DwZyniQO
うちの支配人が若い頃、実際に体験したという話だ。
当時、支配人はフロントとして外資系のホテルでバリバリ働いていた。
そんなある日、支配人はナイト業務と言って、専門のナイト担当者が居ないホテルでの謂わば宿直として
夜十一時から朝八時まで働くことになった。
深夜二時、ベルが鳴ったそうだ。ナイトは初めてではない。慣れている。
フロントバックで休んでいた支配人は何時ものように返事をしてフロントに向かった。
フロントに出てみると、いかにも暗そうな女性が立っている。
(危なそうだ)
そう思ったが、その時は閑散期。お客様は一人でも欲しい。
少し迷ったそうだが、結局料金を先に貰って、私製領収書を切って鍵を渡したそうだ。
そのお客様を見送った後、支配人はフロントに引っ込み、仮眠を取る。

四時過ぎに電話がなった。仮眠から起きた支配人はそれを取る。内線だ。
ナンバーディスプレイに表示された内線番号は、さっきの女性の入った部屋だ。
「はい、フロントでございます」
無言。
「もしもし、いかがされましたか?」
耳をすますと、妙な音が聞こえる。
まさか、何か有ったんじゃないか。
そう思った瞬間、女性の息遣いが聞こえた。
「ああ、すいません。何でもないです」
支配人は胸を撫で下ろした。
「ありがとうございます」
「ありがとうございます。どうぞ、ごゆっくりお休み下さい」
そんなやり取りをして、受話器を置いた。

402 自治スレでローカルルール他を議論中 sage 2010/10/13(水) 17:05:38 ID:+DwZyniQO
チェックアウトというのはラッシュが来ると中々終わらない。
ビジネスマンが多い平日は朝早くに集中し、早番と応対するか、最悪ナイト担当が一人で応対する。
休日は逆だ。チェックアウトのラッシュは遅く来る。
上手く行けばナイト担当が帰った後にラッシュが来るが、そうじゃないとナイト担当がそろそろ帰るか?
という時間にラッシュが始まる。そうなると中々帰れない。
その時は後者だったと支配人は言う。
「ラッシュが八時頃から始まって、閑散期なのにリミットまで続いた」
リミットというのは過ぎるとチェックアウト延長料を頂く時間だ。
「十時までな。それで、ラッシュが切れた頃にふとキーボックスを見たんだよ」
あの客は、チェックアウトしていない。
不安になった支配人は電話を掛けた。勿論その部屋に。
出ない。
不安を煽られた支配人はその時の上司に頼んで、一緒に客室に向かった。

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