洒落怖
食らう

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大学4年の夏。Sさんから聴いた話。
その話を聴いたのは、深夜のことである。
北海道にしては寝苦しい暑い夜。
ようやく訪れた睡魔にゆるゆると身を委ねかけたところで、
けたたましく枕元の携帯が鳴った。
「……はい?」
何の返答も無い。
「……誰?」
言葉を重ねると、電話の向こうからすすり泣く声が聞こえてくる。
携帯から耳を離して相手を確認する。Sさんだった。
高校卒業以来、2,3回しか話していない、同級生。
「どうしたの?」

寝入り端を起こされて気分は良くなかったが、
それよりも泣きながら電話を掛けてくる理由が気になった。
『ごめんね……本当にごめん』
電話の向こうでSさんが謝る。
「いや、明日は別に何も無いし、良いけど……」
『うん、本当にごめん……あのね……怖い夢見たの……』
泣きながらSさんはそう言った。
「どんな夢か詳しく教えて」
そう尋ねた瞬間、しまった、と思った自分を不思議に思った。
何がいけないんだろう。
考える間もなく、Sさんが話し出す。

256 コピペ2/3 2010/06/18(金) 20:26:24 ID:X6H9cn7N0
その日、Sさんは午後0時を少し回った頃に眠りに就いた。
クーラーが苦手な彼女は、窓を開けて眠っていたそうだ。
女性の一人暮らしにしては無用心だろうが、彼女の部屋はマンションの6階にある。
虫も、人も、6階の高さまでわざわざ侵入すること無い。

どれくらい眠ったのだろうか。
――どすん、と腹の上に何かが乗った感触で目が覚めた。
Sさんは“何?”では無く、“誰?”と思ったと言う。
人の感触。人が自分の上に勢いよく飛び乗ってきた。
そう思った。
叫ぼうとした声がひゅうっ、と擦れる。
声が出ない。怖い。
上にいる者がSさんの手を強く押さえつける。
彼女は必死になって抵抗するが、上にいる者はビクともしない。
半狂乱になりながら、Sさんが身体を捩る。
上にいる者はくつくつと、小さな声で笑っている。
怖い。怖い。こわい。こわい。
激しい抵抗と恐怖でSさんの意識が一瞬白んだ。
その瞬間、上にいる者が、グッ、とSさんの口に何かを捻じ込んでくる。
熟れて、腐りかけたメロンの味がSさんの口に広がった。
吐き出そうとするが、しっかりと口を手で抑えられている。
苦しい。息が出来ない。
気持ちは拒絶していたが、体がゴクリ、と押し付けられた何かを飲み下す。
甘く、生臭い何かが喉を通って、胃に落ちていくのが分かる。
上にいる者がクツクツと笑う。
『上々……上々……』
上にいる者がそう言って笑った瞬間、ふっと、重さが消えた。

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