Categories: 洒落怖

長浜さん

この怖い話は約 3 分で読めます。

俺の故郷には長浜さんって言葉がある
これは大昔、地理上の理由から中々文明が発展することが無かった俺の故郷にある言葉で
事態を憂慮した一人の男が他の地方へ人を送り
そこから色々な技術や品物を流入させようとした
長浜族っていうのはいわゆる出稼ぎの人の事を指す(長い浜を歩くって意味?)
俺の故郷ってのは結構険しい地形で片方は海、もう片方はもの凄く険しい山々が連なるんだが
そうなってくると出稼ぎの人は中々集まらないので結構やくざなこともやったらしい
男連中には、本来のルートよりも短いルートを信じこませて人を集めたり
また、県堺に集落を作る為、女も集められたが
その際にも結婚相手がいない百姓だとかなんとか言って騙して連れて来たらしい
現実はもっとキツイ開墾のお仕事だったからそりゃ酷かっただろうと思うよ

895 882 sage 2010/06/10(木) 10:31:50 ID:lPKYnyvZO
その集落の跡地に出るって噂だったんで俺と姉貴、姉貴の友達三人(全員女)の計四人でドライブに行ってみる事にした
他にもう一つ別の心霊スポットへ行こうって話もあったけど、まずはこっちから行くことに
行ってみて驚いたのは、ホントにこんな所人が通ったの?というくらいの道の険しさ
今でこそ自動車道があるけど、断崖絶壁の下に海が続き、途中から日の光も届かない山道に変わるっていうそんな道
みんな心霊スポットとかそういうの初めてだったりしたから、昼に行ったんだけど
暗い山道はそりゃあ不気味だった
未だに道路(舗装はされていない)一本しかない、寂しい山道
途中、山に入って暫くした辺りで俺に耳鳴りがしだしたんで
「やばい、帰ろう」と言ったが相手にされず
もうちょっと進むと、車中に居た全員が耳鳴りを感じ始めた
それからすぐ、俺は周囲の音が全然聞こえないくらい酷い状態になっていたが
他の三人(運転は姉貴、俺は助手席)も尋常じゃない慌てようだったんで
俺と同じことが他の三人にも起こっていると理解した

897 892 sage 2010/06/10(木) 10:43:36 ID:lPKYnyvZO

馬鹿な姉貴はそこからまだ進もうとしていたが
その時、ホントに俺は時間が止まったようになった
分かるかな?両耳が耳鳴りで聞こえなくなって、外の世界から隔離される感じ
俺の膝の上で何か白い影がぐにゃぐにゃと動いていた
耳も聞こえないはずなのに、何やら低い声でごにょごにょと囁くような音が聞こえる
よく耳を澄ませてみると、こっちの方言で「お前だけは許さない」みたいなことを言っていたような気がする
その声を聞き取ろうと俺は無意識の内に集中していた
だんだんと低い声音が強くなっていきそれが叫び声になって
「お前だけはゆるさない」
と言われた時
白い影が俺の腰に縋り付いてきた
白髪頭の男だった

Page: 1 2

bronco

Share
Published by
bronco

Recent Posts

ブライダルフェア

いや、たいして怖くないんだけど…

4年 ago

教祖の妻の肖像画

親が昔、へんな宗教にはまってた…

4年 ago

The Body

10年くらい前の話だけど・・・…

4年 ago

謎の曲

出所が分からない所からの楽曲ダ…

4年 ago

エレベーターで見たもの

じゃあ俺が生涯で一番ビビった話…

4年 ago

強烈な遺体

久しぶりに民話でなく現代の話を…

4年 ago