洒落怖
母親の言葉

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小学6年の頃、Aという知的障害を持った同級生が居た。
こいつはほとんどの授業を養護学級で受けてたんだけど、
ときどき俺たちの教室で一緒に給食を食うことがあった。

Aは常に鼻水やヨダレを垂れ流し、ニヤニヤと笑ってる奴だった。
俺は子供ながらに、そんなAが薄気味悪くてしょうがなかった。
Aが給食を食いに来たときは、みんな腫れ物にでも触るような、
先生までもが異様な緊張感を持っていた。

何故なら、一度クラスの問題児Bが、
先生が給食の最中にトイレへ立った隙に、Aの口に無理やりコッペパンを押し込み、
Aは顔を真っ赤にしてむせ返りながら激しく嘔吐、それだけならまだよかったんだけど、
吐き出したゲロの中に、明らかにゴキブリと思われるものや、ミミズ、カナブン、
頭がもげて胴体だけになった虫が数匹混じっていた。
教室は女子の悲鳴と男子の叫び声で大パニックになった。
先生が駆けつけ、Bはその場で先生に殴られ号泣、
Aは口と鼻からドロドロの胃液をぶら下げたまま、
「あかあさぁぁああーーーーーん!!!!」と、何度も泣き叫んでいた。

そしてその日の午後、Aの母親がクラスへ乗り込んできて、
俺たちの目の前で先生のことを無茶苦茶に罵倒した。
Aの母親は、まるで鬼婆のような見た目だった。
細く鋭い三白眼の目、白髪の混じったボサボサの髪をくくりもせず、
虫食いのある毛玉だらけのセーターと、糸がほつれた短パンを履いていて、
前歯の何本かが真っ黒になっていた。
見た目に圧倒されて何を言っていたのかあまり覚えてないけど、
「お前なんか教師をする資格ない!今すぐ辞めろ!教育委員会に訴える!」
そんなことを叫んでいた。

452 本当にあった怖い名無し sage 2010/01/03(日) 22:57:18 ID:nBEKKaPR0
先生は顔面蒼白のまま、言われ放題なのを我慢していた。
教室の空気は完全に凍りつき、Aの母親が帰ったあと、
何人かの生徒は具合が悪くなり早退し、
先生までもが体調不良で早退していった。
後日、先生とBと、Bの母親で連れ立って、Aのもとへ謝罪しに行ったらしい。
それからほどなくして、Bは転校してクラスから居なくなった。

このことがあってから、Aが給食を食べにくる時は、
クラス全体が異様な緊張感で包まれるようになった。

そしてある日、俺の目の前でAが給食を食うことになった。
机を挟んで向かい合わせに座ったAは、いつものニヤけ顔で飯を食い、
牛乳を手にとって飲もうとした瞬間、俺と目が合い動きを止めた。
牛乳瓶をもったまま目を大きく見開き、口をパクパクさせながら何か言おうとしてる。
ただでさえAのことを嫌っていた俺は、その顔を見て無性に腹が立ってきた。
「何だよ・・・何見てんだよ」
あの鬼婆のような母親のことを思い出すと、強くは出られなかった。
ただ、言い方は悪いけど、まるで障害児に馬鹿にされてるような気がして悔しく思い、
せめてもの反撃じゃないけど、Aのことを精一杯睨み付けてやった。

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