洒落怖
田所くん

この怖い話は約 4 分で読めます。

660 田所君1 New! 2012/05/27(日) 01:33:11.93 ID:1HnKSW970
初めて投下します。
小学生のころ、同級生だった「田所君」(仮名)の話。
長文になります。

田所君とは、小学5年から6年の夏休み明けまで同じクラスだった。
田所君は、かなり勉強の出来るやつだった。
学校の図書館を「根城」(当時は意味が分からなかった)と呼び、
本の読みすぎですでにメガネをかけていた。

推理小説が好きで、図書館にある面白い本をいろいろ教えてもらったのを覚えている。
「根暗」「ガリ勉」「メガネ」の三冠王だった田所君。
これだけなら真っ先にイジメの的になるところだが、
彼には他の追随を許さない類まれな才能があった。
彼は「怖い話をするのが抜群にうまかった」のだ。
そして、彼の話すべてが彼の創作だった。
今にして思えば、どこかで聞いたことのある話だったり、
当時の事件をホラー仕立ての話に改変していた、ということなのだろうが、
いかんせん小学生。湯水のように怖い話を語り続ける田所君を
誰もが崇敬の目で見ていた。
全ての話を自ら「創作だ」と言っていたことから、
よくありがちな「オレは霊が見える」「お前、悪霊がついてるぞ」みたいな
インチキ霊感を騙ることもなかった。
「これは僕が考えた話なんだけど‥‥‥」と田所君が話し始めると、
教室が一瞬で静かになったものだった。
俺たちクラスメイトは、畏敬の念をこめて「怪談先生グレート」と呼んでいた
(「グレート」と付けたのは、学校の先生よりも尊敬されていたからだ)。
小学生ではよくある意味不明のあだ名だ。
普段は略して「グレート」と呼んでいた。もはや田所のタの字もない。

そんな田所君だが、2回だけ創作ではない話をしたことがある。

661 田所君2 New! 2012/05/27(日) 01:34:46.80 ID:1HnKSW970
5年生だった当時、彼の話に惹き込まれるように、
学校(全学年)で空前のホラーブームが巻き起こった。
最初は、怖い話大会のようなものが毎度の休み時間に行われるようになった。
続いて「コックリさん」が流行し、さらに占いが大フィーバー。
放課後は廃屋や墓地に行って肝試し、夜まで帰らない子が続出した。
しかし、この「夜まで帰らない」というのが大問題に発展。
親から苦情が噴出し、さすがの教師陣も対策に乗り出した。
これにより、ホラーブームは一時収束した。
それでも、田所君に怖い話をせがむ子が後を絶たず、
さすがに先生たちどころか親にまでにらまれると思った彼は
一つ目の「創作ではない話」をした。

662 田所君3 New! 2012/05/27(日) 01:36:20.47 ID:1HnKSW970
その話は、分かりやすく言えば「言霊信仰」の話。
「僕が話をするとき、なんで『これは僕の考えた話なんだけど』
って最初に言うか分かる?そういうとさ、
みんなは頭の中で『ああ、これは作り話だ』って思うでしょ?
実はね、これってすごく大事なんだよね」
いつもと違う語りに、みんな「アレ?」という表情を
していたのを覚えている。もちろん俺もその中に入っていたが。
そんな俺たちに構わず、田所君は続けた。
「『ことだましんこう』って考え方があってね。
字は言葉の霊って書くんだけど、意味はね、
すごく強い気持ちで言葉をしゃべると、その言葉が力を持つって意味。
たとえばね、たけし君(仮名、超ビビり)はよく冗談で
僕に「死んじまえー」って言うでしょ?でもさ、
たけし君が本当に本当に僕が嫌いで、憎くて、
殺してやりたいくらい恨んでたとするでしょ?
そんなたけし君が、僕に向かってそういう思いを
ありったけ込めて「死んじまえ!」って言ったとする。
そしたらね、たけし君の強い気持ちが言葉に引っ付いて
僕のところに来るんだ。そしてね、
その言葉が僕に届くと僕は死ぬんだ。言葉に殺されるんだよ」

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  • 匿名 より:

    ワロスw
    ホモビの人やんw

  • 田所くん