この怖い話は約 3 分で読めます。

517 : 本当にあった怖い名無し : 2012/06/11(月) 18:32:49.14 ID:cpaKF/Su0

もう二十年も前になりますが山で体験したことを書きます。
私は当時釣りにこっていまして、一口に釣りといってもいろいろなジャンルがありますが、
その頃は山行をかねての渓流釣りがメインでした。
むろん竿と大荷物を背負ってですので、山行といってもハードな山登りではありません。

秋の連休に年休をプラスして一週間以上の休みをとり、
場所は詳しくは言えませんが、東北のA岳近くの渓流への単独行を計画したのです。
関東からはずいぶん長距離のドライブでしたが、
休み屋の駐車場に車をあずかってもらい沢へと入りました。
好天に恵まれ、釣っては放流をくり返しながら水源のほうへと登っていきました。

二日目に入って、川の岸辺に木がなく一反歩ほどの草地になっているところに出ました。
こういう場所は、たいがいは林でなくとも灌木のおい茂る藪になっているものですが、
短い草がびっしりと生えていてテントを張るにはまさにうってつけです。
そしてやはり先客が張ったらしいカーキ色のテントがありました。
その人は河原に出て竿を出していて、私の姿を見つけると気軽に声をかけてくれました。

518 : 本当にあった怖い名無し : 2012/06/11(月) 18:33:17.18 ID:cpaKF/Su0

六十歳代の定年退職をされた方で、この渓流で昨年この場所を見つけ、
今年はここをベースにして行動しているとのことでした。
そして興味深い話を聞かせていただきました。
「君、菌輪という言葉を知ってるか? 菌環ともいうし、外国ではフェアリー・リングというらしい。
夜に妖精が輪になって踊って、疲れて眠ったところに朝日を浴びると茸と化してしまう。そういう伝説があるんだな。
ここがそれみたいなんだよ。ほら」

そう言って案内してもらいましたが、確かに草地の回りを真円に近い形でひょろひょろした茸が取り囲んでいます。
「調べたんだが、これはハラタケというのの仲間らしい。菌輪のできる原因についてはよくわかってないけど、
これらの茸は地中で菌糸つながっていて、全体が一つの細胞の一つの生命体だという説もある。面白いだろう」
そして菌の力が強力で共生している芝以外の植物が生えないのではないかという推論も話してもらいました。
この菌輪は大きいものでは直径五百メートル以上になり、菌としての年齢は数百年を越える場合もあるのだそうです。

「でね、この大きな菌輪の中にさらにあちこちに小さい菌輪ができてるんだよ」
確かに、直径数メートルから数十センチの菌輪がそこここに見られます。小さいものは様々な形をしていて、
真円のものはむしろ少ないようです。
「これなんか変な形だろ、人の寝姿に見えないか。こことあともう一体あるんだ」

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