後味の悪い話
断章のグリム

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326 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/13(日) 02:01:11.56 ID:sDOl/1IT0
「断章のグリム」というラノベ
強いトラウマになるような惨事に出くわした人々が、そのトラウマになぞらえた能力を持つという設定のある話。

ある青年は、不老不死の力を持ち、自らの血を与えることで他者の怪我を多少治すことができる。
彼は次々と親しい人々に先立たれた経験から「自分一人だけが残される」というトラウマを抱き、そのトラウマが能力となった。

恋人に先立たれたことが決定打となって能力を得た青年は、恋人の後追いをしたいという願望が強かったものの、
その時にはもう、四六時中自分の体を切り刻み続けても死ねない体になっていたため、
悟りきったように死ぬことを諦め、能力者同士の互助会みたいなものに加わり、回復役として働くようになった。
彼は自分の境遇を「八百比丘尼」に投影していたためその能力は魚の属性を持ち、
血を大量に与えすぎれば、相手を魚に似た化物に変えてしまうので、調整して与えていた。

ある少年は「相手の能力やその根幹となるトラウマを理解した上で拒絶することで、相手の能力も存在も消去できる」という能力を持っていた。
少年に出会い、能力に戸惑う少年を指導したりと先輩として振る舞いながらも、
青年は、彼の能力によって殺してほしいという願望をどんどんふくらませていくようになった。

能力者たちは時に、強すぎるトラウマに飲み込まれ、
自分のトラウマを周囲に撒き散らすようにして怪奇現象をふりまき、
話によっては街一つを壊滅させてしまう事もあった。
手に負えないそんな能力者を、最後の手段として消し去るのが少年の役目だった。
少年はある時、うっかりと互助会のメンバーの一人をきれいさっぱり消し去ってしまった。
その人物は「殺した相手が異形として甦る」という能力者だったため自殺する事も出来ない自殺願望の持ち主で、青年の友人でもあった。
「殺してほしい」という願望を、少年の心情を思いやりこらえていた青年だったが、友人の死がうらやましくてたまらなくなった。
少年にただ口で「殺してくれ」と頼んでもだめだろうから、「殺さなければ」と思うよう仕向けようと考えだした。

327 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/13(日) 02:02:37.30 ID:sDOl/1IT0
手始めに青年は、仲間の一人に無理矢理自分の血を飲ませ、化物に変えた。
そうされた人物は、全身を体内から異形の小魚に食い破られ、
まるで人型に小魚が寄り集まったかのような姿になり、
それでも青年の能力の片鱗により、不死で意識もあるという悲惨な状態になった。
その姿を少年に見せ、自分を消して欲しい、そうすれば能力も消え、
苦しんでいるこの人を楽に死なせてあげられるよとお願いした。
しかし、青年は恩のある相手であるし、優しかった彼のいきなりの変貌に驚くしとで、少年は動揺しそれに答えられなかった。

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