この怖い話は約 3 分で読めます。

俺の住んでいる県は小学六年生になるとみんな県内で一番高い山に登るっていう風習があるんだ。
その山に登ってやっと一人前、その山に登ることで中学生になれる、みたいな感じだった。
当然俺が小学六年生のときもその登山は実施された。
小学生にとっては貴重な夏休みの二日間を費やされるのでノリ気な奴はあまりいなかったが…。
一日目は山には登らずハイキングコースみたいなところを歩いて今晩泊まる山小屋まで生徒全員で行くだけで終わった。
その日の夜は事前に仲良しの友達だけで割り振られたた部屋で散々騒いだ…んだが、俺は運悪く軽い高山病になってしまい
騒ぐ友達たちを横目に先に寝てしまったんだ。

681 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/09/24(月) 12:43:35.88 ID:ExBzGYmM0
ふと目を覚ますと、高山病はかなりよくなっていた。でも部屋の明かりはすでに消されていて真っ暗。
(あーあみんな寝ちゃったか…じゃあまた寝ようかな)
と思ってもう一度布団をかぶった。
…寝付けない…寝付けない上に尿意までやってきた。
(うわぁ最悪だ…こんな山小屋で一人でトイレ行くとか絶対無理…っ)
先述したとおり、俺の地域に住んでいる小学生たちはみんなこの山に登るから当然滑落死亡事故とかも何年かに一回は起こってる。

そしてその山のふもとにある山小屋はここ一軒しかないから亡くなった子供たちもみんなここに泊まった訳だ。自分が次の日に死ぬとも知らず。
そう考えるとトイレどころじゃないくらい怖くなってきて、おねしょしないことを祈りながら眠りにつくことにした。

682 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/09/24(月) 12:48:28.94 ID:ExBzGYmM0
…が、そんな簡単に尿意は去るわけもなくソワソワと貧乏ゆすりをしていると
「おい、起きてるか、おい」
と、隣で寝ていたAが俺を体をゆすってきた。
「ん?なに?」
今まで寝てましたよ、という感じにダルそうに返事をする。
「トイレ行きたいんだけど…一緒に行かね?」
まさに僥倖、この時ばかりは本当に神の存在を信じた。
「ったく仕方ねーな!いくかー」
と本当は行きたくないけど仕方なくついてってやるやるか、という自分を演じて俺とAは部屋を出た。

683 本当にあった怖い名無し sage New! 2012/09/24(月) 12:51:13.95 ID:ExBzGYmM0
この山小屋は簡単な作りでながーい廊下が真ん中に一本あり、その脇に宿泊部屋がいくつもあってその廊下の突き当たりが食堂とトイレになっている。
俺とAのいた部屋は一番トイレから離れていて予備の照明しかついてない薄暗い廊下をいそぎ足で歩いた。
なんとかトイレにたどりついたとたんにAはすごい勢いで大便器のほうの個室に入ってしまった。
どうやらAは大の方を相当我慢していたらしく、俺の苦しみとは比べものにならない苦しみを味わっていたようだった。
俺は限界まで我慢していたわけではなかったため、Aを茶化しつつ小便器で用を済ませた。
当然Aを置いて先に帰るわけにはいかず、トイレの入り口でAを待っていた。
トイレの前の廊下はトイレの入り口からこぼれる光だけで照らされていて、さっき布団の中で考えた「亡くなった小学生」のことが頭をちらちらよぎる。
早く出てこいよ…遅いよ…と怖さを紛らわすためにぶつぶつと独り言を言っていた時。

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