この怖い話は約 2 分で読めます。

ある冬の夜の話なんです。サラリーマンがですね。宿を探していたんですよ。
終電に乗り遅れちゃったんだな。いつもならネット喫茶で夜を明かすのね。
ところが寒風吹きすさぶ凍てつく夜だったこともあり、風呂に入りたいと思ったわけです。

人気のない街をぶらぶらしているとぼんやりとしたネオンの光が見えてきたんだな。
そうそう言い忘れました。ここは上野界隈。カプセルホテルがいくつかあることを彼は知っていたんですねぇ。
受付でサウナもあると言われて大喜び!直ぐに温まって横になろうと大急ぎ。

目的地に着くと人間冷静になるものです。彼は気づいちゃったんだな。ちょっと変だぞと。
そのサウナがね。よくあるホームサイズサウナ。あるでしょ?独り用の扉に硝子窓があるタイプ。
まぁせっかくだしと腰を下ろすとほんのりと汗ばんできたの。くつろいできたと思いきや・・・
ふと正面を見ると男が凝視しているんですよ。硝子窓にへばり付かんばかりの距離からね。
精悍な顔つきなんだけど際立っていたのが目つきなんです。そそ、玄葉サンや舛添サンみたいな「目」なの。
順番待ちかな?と思い話し掛けてもただ黙って、血走った眼で、瞬きもせずじっと見つめるだけなんだな。
さすがにだんだん・・・だんだん・・・怖くなって・・・でもどうすることもできなくて・・・いつしか意識が遠のいて・・・

気がつくと枕が二つ並んだ布団で寝ていたの。布団の直ぐそばにティッシュがあって、ルージュで何か描かれていたのです。
「素敵な夜をありがとう(はぁと)」彼はもうすっかり打ちひしがれてしまいました。
何も考えたくない!受付で会員登録した後、会計を済ませおぼつかない足取りでよろよろと宿を後にしたのです・・・。

bronco

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