Categories: 洒落怖

死に神

この怖い話は約 3 分で読めます。

729 本当にあった怖い名無し sage 2008/02/03(日) 19:03:32 ID:6+n5jtq40
8年くらい前のこと・・・・
俺は30前から非常に体調が悪く、会社を休みがちになっていた。
仕事面私生活面ともに特に問題があったわけではない。
しかし、どうしようもなく体がだるく、まず遊ぶ気力が無くなり、休日に
外出しなくなり、やがて、平日でも体力が続かなくなり仕事に影響が
ではじめた。重要な約束があっても、体がついていかない。ドタキャン
、遅刻、早退。有給休暇も使い果たしついに欠勤。会社の指定する産業医
の診断を受け治療するよう、会社から命じられた。(地元病院には懸かっていた)
そんなある日、朝から体調が悪く、例により会社を欠勤(連絡は入れていた)し
会社の措定する産業医のいる、某大きな病院に行くために電車に乗った。

電車の中でもとても具合が悪く(動悸・めまい・わけわからない焦燥感・息切れ
全身倦怠感。なんかとてもヤバイのではないだろうかと言う感じ)、地下鉄に
乗り換える頃には今にも倒れそうだった。朝9時はすぎでラッシュのピークを
超えていたため、ホームに人はまばらだった。俺は、人が少ないホームで列の
最前列に並ぶことになった。行き先掲示板が、次の電車が、前の駅を出たことを
表示していた。なんか耳が遠くなり、線路や看板、行き来する人が、現実でなく
映画かテレビの一シーンのようにしか思えなくなり、なんか「どうでもいいや」という
気分におそわれた。このまま線路に飛び込めば楽になれる・・・楽に・・・あっちに
行きたい・・行きたい・・・そんな考えが頭に浮かび、飛び込む衝動を押さえきれなく
なりそうになった。「ヤバイ。行くな」とかすかに残った理性が叫ぶ。俺はホームの
白線を超え、ホームの端ぎりぎりまで前進していたことに気づいた。

730 本当にあった怖い名無し sage 2008/02/03(日) 19:04:06 ID:6+n5jtq40
すんでのところで思いとどまった俺は、とっさに後ずさりし
ホームの後方の壁まで下がって、もたれかかった。
俺の後ろに並んでいた人が怪訝な顔をした。
アナウンスが、まもなくホームに電車が入ってくることを告げ、
地下鉄のトンネルの中で電車に押された空気が強風となって吹いてきた。
俺はぼんやり周りを見渡した。すると20代前半だろうか、少々ブスっぽい
ぽっちゃりした女性が、思い詰めた表情で立っていた。俺の斜め前方数メートル
くらいのところで、ホームの端(線路と)まではまだ3メートルくらいはあったと思う。
電車がホームに進入してくるのが視界の片隅に見えた。
その女性は、するすると前に歩き始めた。最初はためらいがちに・・次に意を決した
ように・・・
「ヤバイ」と俺は思った。しかし声は出ず、体も動かせなかった。ただただその女性を
めで追っただけだった。
ホームに電車が入ってきた。運転手の顔がはっきりわかる距離まで来た。
運転手は女性に気づいた。「うわあああああああああ」おそらくこういったのだろう。
運転手の口が開きゆがむのが見えた。運転手の目は、しっかり女性を見ていた。

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