Categories: 洒落怖

増幅する恐怖心

この怖い話は約 2 分で読めます。

53 安全地帯 sage 2007/08/09(木) 08:43:09 ID:qQ9bLk8V0
昨夜飲み屋で聞き込んだ。忘れないうちに書いておこう。
あるサラリーマン。彼はワンルームマンションに住んでいたのだがそこで殺人事件が起きた。
勿論殺人事件など滅多に自分の身近で起きるものではないし、刑事が訊ねて来る事もそうそう無い。不謹慎な話だが、会社で同僚達に刑事が来た時の事や、その様子を「刑事ドラマと違って本物は・・」などと得意げに語った。

帰宅してエレベーターに乗り、6階のボタンを押した。すると3階で止まった。
(おお、3階って殺された階じゃないか?)と思った。
ドアが開いたが、ホールには誰も居ない。目の前には、花束が置いてある。

被害者の女はエレベーターホールで刺され、瀕死でエレベーターに乗り、中で息絶えた所を発見されたのではなかったか?と、刑事の話を思いだした。
朝はテープを貼って使用禁止になっていたっけ。もう捜査は終わってしまったのか?
そんな事を考えていると、ドアが閉まった。閉まる瞬間にドアが止まり又開いた。
6階に着いてエレベーターを降りたのだが、ホールを歩いていくと何かおかしいと
感じた彼は後ろを見た。ドアが閉まらないでガタガタとやっている。

部屋に向かっていた彼は、歩きながら急に恐ろしい考えが浮かんできてしまった。
(3階で死んだ女が乗ってきたんじゃないか?)
そんなバカな事を考え始めると、ますます恐ろしくなってしまった。
(もう一度振り返ったら、エレベーターに女が血まみれで立っていたりして・・・)
などと妄想がどんどん大きくなって、子供のように走って部屋に向かった。
財布からカギを取り出して差し込もうとするのだが、こんな時に限って上手く廻らない。
どんどん恐ろしい妄想が高まってきた。直ぐ後ろに女が立っている様な気がして
しょうがない。早く部屋に入ろう!目をつぶってカギを廻す。

玄関に転がり込んだ彼の目の前には、血まみれの女が立っておりじっと彼を睨んでいたという。

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