Categories: 洒落怖

ディスプレイに映る男

この怖い話は約 2 分で読めます。

 目が覚めてしまったので、ついでに体験談を投稿します。
 これは六月の頭あたりに起きたことです。

 深夜のことだ。レポートを纏めていると、PCのディスプレイに男の姿が映った。
 私の背後に立っている姿が映っているのだが、勿論、そこに「人が居る」という感覚はない。
誰かが立てば、誰しも何らかの気配を感じる筈だが、それがない。
 私はすぐに振り返った。いつかの「黒い物体」の時もそうだが、どうせ見るならば一気に行った方が楽だ、と思っていたからだ。
 しかしそこにあったのは、本棚のガラス戸が映しているディスプレイの光に浮かび上がった私の姿だけだった。
喪失感だけがあって、一層不気味である。

私は気持ち悪がりながらも、作業は残っているので、すぐにディスプレイに身体を向けた。
 だがディスプレイには、先ほどよりも私に近づいた男の姿が映し出されていた。
先の姿は立っていたのだが、今度は私の顔の高さに合わせるようにして、男の暗い顔がある。
顔の薄い骸骨のような男だ。口元には、引きつらせたような笑みを浮かべている。
 情けないことに、私は「おわっ」と小さく呟いて、すぐに席を立った。
 どうしてかは分からないが、画面を見続けていたら、男に頭を掴まれてしまう印象を受けたからだ。
頭を掴まれることが、果たして何を意味するのかは分からなかったが。
 その日はもう、レポートなど出来なかった。
ディスプレイを見るだけで怖かったからだ。
結局、たっぷり二日の間を空けてレポートを再開したが、再び背後に男が立つことは無かった。
 しかし「頭を掴まれる」という印象が強烈過ぎて、壁紙は白っぽい物に変更し、自室で
PCをいじる時は机上のスタンドだけでなく、蛍光灯もしっかりつけて作業するようになった。
とにかく、ディスプレイに私の背後が映るのが怖いのだ。

 現在、あの男が私の部屋に居るのかは分かりません。
 自室で頭痛を覚える度に、あの男が私の頭を持っている錯覚をするようになりましたが。
 まあその内、治るでしょう。それでは失礼致しました。

bronco

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bronco

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