Categories: 洒落怖

ドアを開けようとするもの

この怖い話は約 2 分で読めます。

去年の夏。
七月の半ばに差し掛かってもなかなか雨が抜け切らない、時期の話です。

ヘビースモーカーだった自分は、禁煙を公言して3年以上煙草をやめていました。
でも新しい仕事場での勤務がきつく、疲れとストレスから同棲している彼女に
隠れながら少しだけ煙草を吸い始めていました。
吸っても怒られるということは無いですけど、なんとなくばれるのが嫌で、
仕事に慣れてしまえばまた禁煙も出来るだろうと思いなるべくばれないようにしていました。

いつものように深夜、マンションの廊下で煙草を吸っていました。
最上階で角部屋なので人が来ることもほとんどないのです。
部屋の中やベランダで吸えない自分にとってはそこが一時のオアシスです。

一服し終えて吸殻を始末して部屋に入りました。
中で寝ている彼女を起こさないようにゆっくりドアを締め、鍵をかけました。

その鍵をかけたか、かけていないかくらいの瞬間。
尋常ではない勢いでドドアノブががたがたと揺さ振られました。
部屋のドアは一部がすりガラスになっていて、外の様子が見えるのです。
明らかにそこには大柄な人間が必死にドアを開けようとする姿が映っていました。

思わず情けない叫び声が出てしまい、彼女が飛び起きて来ました。
彼女に眼前の状況を伝えようとしましたが、そこには何の異常もないドアしかありませんでした。

煙草を吸っていたときには誰もいるはずがないんですけど、一体なんだったのでしょう?
鍵がかかっていたことで諦めて、ダッシュで逃げたんでしょうかね?
あとで考えれば考えるほど本当にぞっとします…
今は複製のできない鍵に換えて、必ず絶対に鍵をきちっと締めるようにしています。

bronco

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bronco

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