Categories: 洒落怖

おっさん

この怖い話は約 2 分で読めます。

目の前で吹き上がったトラックの排気音。その轟音の中でも
しっかり聞こえてしまったのだ。おっさんが明らかに俺に対していった

「 見 え て る ん だ ろ 」という声が。
怒鳴り声ではなかった。ただ左側から確かにそう聞こえた。
グルアアアーというようなトラックの排気音の中でも、しっかり聞こえたのだ。
他にも何か聞こえた気がするが、それは聞き取れなかった。
いや、意図的に聞き取らないようにしたのかもしれない。
なぜなら俺はその直後に大絶叫しながら思い切り速度を
あげてトラックを追い抜いて一気に走り去ったからだ。

あれ以来、夜中に同じルートで帰ることはしなくなったが
翌朝もその後も特に変わったことはなかった。
ただ声を聞いてから自分でも驚くほどの絶叫をあげながら
走ったせいか、しばらく喉が痛かった。

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bronco

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bronco
Tags: 電話電車

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