Categories: 洒落怖

ホォー

この怖い話は約 2 分で読めます。

学生時代の話。
地方の大学で下宿することになった俺は、引っ越しの準備の為母を乗せて車を走らせていた。
時間は深夜0時をまわっていた。
ラジオをかけながらダム沿いの山道を走っていると、突然母が「汽笛の音がする」と言い出した。
怖がりな俺をビビらせる為に冗談でも言っているんだろう。
そんなことを思いながらラジオの音量を絞ると、確かにホー、ホーと汽笛のような音が聴こえる。

近くに貨物列車でも走っているのかな。
手動でウインドウを下げながら母に聞くと、「この辺りに電車は走らない」と言う。

107 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(2+0:3) New! 2013/01/21(月) 14:48:17.50 ID:4LtlLk7k0
窓を全開にすると、その音はより大きく聴こえるようになった。

ホォー、ホォー、ホォー。

怖くなった俺は、ウインドウを閉めてアクセルを目一杯踏み込んだ。
横をみると母は真っ青になりながら目を瞑って下を向いて震えている。

かなりのスピードを出して走り続けたが、その音は聴こえなくなるどころかどんどん近づいてくる。

ホー。ホー。ホーー。
ホォォォ、ホォォォ、ホォォォォー。

108 忍法帖【Lv=40,xxxPT】(3+0:3) New! 2013/01/21(月) 14:49:42.63 ID:4LtlLk7k0
無我夢中で峠を登りきると、山頂のトンネルに差し掛かった。

ホォォォー、ホォォォー、ホォォォーー。

車のすぐ後ろを追従する音。
いや、、、音ではない、これは男の呻き声だ。

ホォォォ、ホォォォ、ウォォーー

追いかけてくる呻き声はついに後部座席から車内に入ってきた。

ホッ、ホッ、ハァ、ハァ、ハァ

呻き声は息切れ声にかわりすぐ後ろに気配を感じた。そして。

ハァァァァ

大きなため息と共に、生暖かい吐息が耳にかかった。

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