Categories: 洒落怖

やばい場所

この怖い話は約 4 分で読めます。

夏休みでした。夜中の12時くらい、いつも通らない裏道を歩いて帰っていました。
突き当たりは空き地で、フェンスがしてありました。
そのまま左に折れてまっすぐ行くと、うちのすぐそばまで出る道なんですけど、小さい頃親に絶対通っちゃだめといわれてたので、ずっと通ってなかったんです。
でもその日はふとその存在を思い出して、裏道に入りました。
前方に50代くらいのサラリーマンが歩いていました。
後ろで車輪がマンホールを踏むがこんという音がしました。
あ、自転車が来たな、道細いからつめなきゃ、と思い、サラリーマンが歩いている側に避けました。
が、なかなか自転車は追い越していきません。あれ?と振り向くと、同時にわたしを追い抜いていく自転車・・・乗っているのは、顔中に茶色い包帯を巻いた全裸の人でした。
顔には包帯をしているのに裸で、包帯で見えないけど口をぱくぱくさせているのがわかりました。

871 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/08/17(木) 16:56:36 ID:bQYjW2za0
見た瞬間全身の毛が逆立ちました。わたしを追い越してサラリーマンの横をすり抜けていきます。
自転車の人の背中にはぼろぼろの木の板がはりついています。何か字が書いてあるけど読めません。
サラリーマンは酔っているのか、狭い道を端に寄るでもなくふらふら歩いています。
ぶつかる、と思ったら、そのまますうっと通り抜けていきます。追い抜かれて一瞬間をおいてから、「うわわ、あああ」と、サラリーマンが立ち止まって声を上げました。
わたしも声を上げてしまいました。そのまま自転車の包帯の人はまっすぐ走っていき、フェンスも通り抜けて空き地へ消えていきました。
サラリーマンもわたしも呆然としていました。逃げ出したいけど背中を向けるのが怖くて動けません。
「見た?見た?」とサラリーマンが振り返って言いました。
わたしはうなづいて、ぶるぶると震えていました。「逃げよう、表通りにいこう」と、酔いが醒めたのかもともと酔ってなかったのか、サラリーマンが言い、二人で競うように表通りまで逃げました。

872 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/08/17(木) 16:58:29 ID:bQYjW2za0
「見ちゃったね、えらいもん見ちゃったね。お嬢さん家どこ?送るよ」とおじさんが言いました。
変なかんじはしなかったし、一人で帰るのが怖くて、住所を言うと、「あれ、○○さんち?」とおじさんがいいました。
母の同級生でした。「あの空き地はね、昔からずっと古い廃屋があってね、るんぺん小屋なんておじさんが小さいときから言われてたんだよ。
でね、そこで人が死んだり、自殺者が見つかったり、子供の死体が捨てられたり、いろいろあってね。
おじさんたちが生まれるよりずっと前に、もっと怖いことがあったみたいでね。(それは教えてくれなかった)
とにかく悪いことばかりあるからって、ずっと昔に壊したの。
でもそんな場所ってみんな知ってるからさ、ずっと空き地のまま。
おじさんもいつも気味悪くて通らないのに、今日はなにか、ちょっと酔っててさ、ふらふらっとね。もう酔いも醒めたけどね」
わたしは震えがまだ止まらず、いつの間にか半泣きになっていました。
「やっぱでもね、怖い場所ってのはあるからね。夜なんか特に通るもんじゃないね。あんまり怖いから、誰かに言いたい気持ちわかるけど、今日みたことはあんまり言わないほうがいいかもわからんね。話すとついてくるっていうから、ああいうのは」
そうしておじさんに送ってもらい、帰宅しました。あれからうしろに自転車の気配がすると、怖くてすぐ振り向いてしまいます。

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