Categories: 洒落怖

雑居ビル

この怖い話は約 2 分で読めます。

10年近く前の話

大学の帰りに近くに出来たブックオフに寄ったので、いつもとは違う道を駅まで歩いていた。8時過ぎていたと思う。
突然猛烈な便意を催した。辺りにはコンビニとかマックとかはなく、焦った俺は偶然通りかかったちょっと新しめの雑居ビルに飛び込んだ。
エレベーターを使うのももどかしく階段で二階へ上がったが、廊下を見渡してもフロア内にトイレが見当たらない。
おかしいと思ったが漏れそうだったんで見切りをつけて三階へ上がった。
廊下を見渡すと奥にトイレの表示が見えたので早歩きで向かった。

途中どっかの会社のオフィスを通り過ぎた。廊下側も窓になっていて中でたくさんの人たちが働いていたのが見えた。
部外者だから変に思われないか心配したが、今はとにかくう○こが先決だった。

で無事済ませたのだが、手を洗って出てきた瞬間思わず立ち止まってしまった。
明るかった部屋の電気が消えており物音一つしない。
振り返っても同じ。廊下のぼんやりとした明かりだけがついている状態。
妙だと思いながら階段の方へ戻った。通り過ぎる時窓から部屋の中が見えたが誰もいない。
そんなはずはないと立ち止まって部屋の中を見渡すと、そこにはデスクが並んでいるだけだった。
上にパソコンも電話も書類もない。ただのデスク。つか、椅子もない。

ここで初めてぞっとした。
早く出ようと廊下から階段へ入ろうとした瞬間、背後がパッと明るくなった。反射的にまずい!と思って階段へ飛び込んだ。
二段飛ばしでこけそうになりながら降りた。

二階まで降りた時、上から大勢の人間が一斉に階段を降りる音が聞こえてきた。
それもカツコツとかじゃなくバタンバタンと俺みたいに二段飛ばしか三段飛ばしくらいしてる音。
びびったなんてもんじゃなかった。必死で階段を降りた。何段飛ばしだったか覚えていないがよく転落せずに済んだと思う。
通りに飛び出すと駅まで全力疾走した。心臓が胸突き破りそうになってた。

それ以来卒業までその道は通っていない。

bronco

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bronco

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