Categories: 洒落怖

犬畜生

この怖い話は約 2 分で読めます。

去年の話
似た住所の同姓の人の郵便物がたまに誤配送される
いつも黙ってポストに投函し直していたが
ある日、誤配送された封書を自分宛と思い込み開封してしまった
中身は結婚式の招待状だった
が、案内状は真っ二つに破られていた

そして、メモ帳に「犬畜生 お母さんに謝れ」と書かれたものが入っていた
宛先も送り主も同じ苗字の女性
手紙の方を読んだら、もう少し事情を知れたかもしれないが
怨念のこもった犬畜生の文字が恐ろしく、そのまま郵便局に届け出た

その夜
眠っていると、物凄い雨音で目が覚めた
と言うか、雨に打たれていた
気が付くと私は真っ暗な中で雨に打たれながら
「○子ー!○子ー!」と知らない名を怪鳥のような声で叫んでいた
すると遠くから、別の女の声で「オカァサーン!オカァサーン!」と叫ぶ声が聞こえて来た
そして2人の声が一気に呼応して次の瞬間、破裂した
グワァァァァァン!と凄まじい余韻
気が付くと目の前に仏壇がありリンが共鳴している
でもうちに仏壇はない
今度こそ目が覚めた

真っ暗な部屋
右隣に主人が寝ている
良かった…
なのに左隣にもいる
左の耳許に中年女の声
「くやしい…お母さんがどれだけ苦労したか…」
今度こそ気絶した
朝になっても部屋の中が薄暗く感じられて恐ろしかったが
3日くらいで嫌な空気は消えた
なんとなくだけど、しがらみ背負った結婚式だったんだろうなと思う
ちなみに、誤配送の相手の家とは今でも面識はない

bronco

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bronco
Tags: 中年女

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