この怖い話は約 3 分で読めます。

僕の通っていた小学校には ある噂があった

「タロウクンッテ、シッテル?―――。」

学校の外の神社にポツンと佇む
一本の大きな桜の木

その木下に暫く立っているとどこかでそうささやく声がする。
ハッキリとはしないが、確かに聞こえるそうだ。

誰か聞いたのかわからないし噂が流れた経緯も定かではない

その桜の木はかれこれもうもう三十年も立っていたという。

444 名前: チート使い 2006/07/29(土) 12:15:37 ID:6lPUFWX30
僕はその言い伝えを全くと言っていい程信じていなかった。
何故なら、これが霊的な現象そのものであるからとわかっていたからだ。 僕が九つの歳一度その桜の木の下に立つことがあった。
それまでは敬遠していた場所だったがその日はたまたまそこに立った。

確か数分程立っていたと思う。
不思議と時が早く過ぎた。
しかし、何も起こらなかった。

このときには気にも留めていなかったが、あとでこの事を思い出して
「やっぱり 作り話だったんだ誰かが怖がらせようとして作った作り話だ」
と解釈した。

445 名前: チート使い 2006/07/29(土) 12:16:54 ID:6lPUFWX30
この言い伝えを知っているのは、実はそんなに多くなかった。
自分のクラスで数人だったと思う。
しかし、僕がその噂を広めた辺りからあっという間にその噂は学校中に広まった。

それから一年が平静に過ぎる。

5年生になった僕たちは好奇心が旺盛になり

僕と僕のクラスメイト 昭雄 健太郎 太郎と一度桜の木の下に全員で立ってみようという話になった。

その日は確か晴れだった。
当時は現在と違い土曜日は短縮ながら完全に登校日だったので、日曜の朝に神社に行くことにした。

僕の家から神社まで
500mと離れてはいないだろう。

途中の坂道で僕の前を横切った黒いネコは己の背中でこれから何が起こるのかを物語っていたような気がする。

446 名前: チート使い 2006/07/29(土) 12:17:41 ID:6lPUFWX30
その神社は周囲が緑に囲まれている。
低学年の時に一度寄ったことはあったがその時とはまた違う空気が流れていた。

その大きな桜の木は、神社の周りの緑の中でもまた一際違った空気を醸し出していた。
まず僕たちは一人ずつその桜の木下に立った。
最初は、昭雄だ。

「俺が死んだらマンガ返せよ」
と冗談交じりに昭雄は言う。
しかし内心は怖かったのかもしれない。

昭雄は桜の木下に立った。
2分・・・3分と 辺りを静寂が包む

「何もねーよ」

そう言って昭雄は桜の木下の陰の中からゆっくりと外へ出た。
僕らはやはり所詮は”噂”だという事を再認識した。

447 名前: チート使い 2006/07/29(土) 12:18:23 ID:6lPUFWX30
僕も健太郎も立ってみたが何もなかった。残すは太郎だ。

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