Categories: 洒落怖

禁忌

この怖い話は約 3 分で読めます。

地元静岡のさらに地方の、文化会館の前にある電話ボックス。
昔は二つ併設されていた。片方は取り壊されて、今は一つしかない。

で、不思議なのが、取り壊されたほうの電話ボックスは、
壊される前からずっと使えない状態だったんだよね。

何故か。

『電話ボックス内に、真っ赤に染め上げられた婦人の像が置かれていた』
からなんだ。
それはちょうど、受話器をとって電話するポーズのまま、
夜のライトに照らされていた。

そんな物が置かれていた理由は一切わからない。
その昔、すぐ隣の高校の教師に話を聞いてみたが、
『知らぬ、存ぜぬ』の一辺答だった。まあ仕方ないが。

さらに気味が悪かったのは、文化会館の職員にインタビューした時。

『おばちゃん、あれ何や?』
「なあに坊ちゃん。ん、あれの事?ごめんねえ。
 私にもわからないのよ~。ちょっと待っててね。
 詳しい人に訊いて来るからねえ」

そういったまま職員のおばちゃんは何処かに消えた。

…そして、帰ってこない。
幾ら待っても帰ってこないので、めんどくさくなって俺は帰宅した。

数日後また行った時に、同じおばちゃんがいたので挨拶して、
この前の質問の続きをしてみた。

そしたら、何故かおばちゃんはニコニコと愛想笑いをするだけで、
うんともすんともいわないの。
何もしゃべらない。
目を合わせたまま、ずっとニコニコしていて、
俺が何を言っても口を開きもしない。

流石に、気味が悪かった。

子供心に、『ああ、これこそが禁忌というものなんだな』
と合点して、俺はあの時から今まで、電話ボックスの事は
触れずに過ごし、次第に忘れてしまった。

そして昨夜、俺が偶然あの文化会館の前を通りかかった時に、見たんだ。
会館前の、併設する二つの電話ボックス。
そのどちらにも、小太りのおばちゃんが入って電話していた。
今時珍しいな、なんてボーっと眺めていたんだが、すぐに寒気がした。

二人いるそれぞれのおばちゃんが、どちらも俺の事をじっと凝視していたから。
どちらも黄ばんだ白目で、連日の徹夜明けのサラリーマンみたいな目。

うわ、気味が悪ィなァ―――――ッ!
と思って、俺は急いでチャリを漕いで家に慌てて帰った。

で、家について一服して、思い出したんだよ。
>>766で初めに書いたとおり、電話ボックスは『今は一つしかない』んだよね。
で、ついでに幼少時に会館の職員のおばちゃんに質問したことも思い出した。

一気に気分が悪くなって、その夜はウンコして寝た。
今朝、何かひどい悪夢を見てたんだが、中身は思い出せない。
夢のラストは俺の部屋にある日本人形が、俺を助けてくれたっていう
わけわからんオチだったんだが。

昼間なのに、雨だというのに、今日は家鳴りが

bronco

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