Categories: 洒落怖

成りすまし

この怖い話は約 3 分で読めます。

大学4年生の11月、Aの就職がようやく決まった。
本人は小さな会社だと言っていたが、内定を貰えたことに変わりはないし、
晴れて仲間内全員の進路が決まったことで、1月に旅に行く運びとなった。

旅の発案をしたのはAだった。
レンタカーを借りて、東京から日本海側を北上し青森を目指す計画だ。
当時運転免許を持っていた僕とCが交代で運転をする代わりに、
AとBとDがレンタカー代とガソリン代を払うということで話が折り合った。
僕を含めて5人の旅だった。

僕たち5人は大学のサークルで知り合った仲だ。
僕とCは同じ学部で同じゼミを専攻していたが、AとBとDは別の学部に通っていた。 213 本当にあった怖い名無し 2013/11/10(日) 01:11:50.38 ID:e4SlLL0S0
旅の2週間程前に奇妙な出来事があった。
宿の手配や旅の詳細な計画が概ね完了した矢先だった。
Bと全く連絡が取れなくなってしまったのだ。
電話をしても繋がらないし、家に行ってもBは留守だった。
Bと仲が良かった別の友人にも連絡をしてみたが、Bの所在は分からなかった。

出発の5日前、最後の打ち合わせをするために集合した。
依然としてBとは連絡が取れないままだった。
さらにAとDの様子がおかしかった。

打ち合わせの結果、3日前になってもBと連絡が取れなかったら旅を中止することに決まった。
たしかに個人的にも、Bがいなければ旅をする意味が半減してしまう気はしていたし、
何よりも心配だったので、このままBがこなければ中止という意見に違いはなかった。
しかし、AとDが異常なほどに旅は中止だ中止だと強く言っていたことが気がかりだった。

帰り道、僕は仲間内でも特に仲が良いCと個別に話をした。
無論Bの事と、打ち合わせの時のAとDの挙動についてだ。

僕もCも同じことを考えていた。
Bの身に何かあったのではないか。ということと
その事にAとDが何か絡んでいるのではないか。ということだった。

その日の内に僕とCはBの家に行くことにした。

相変わらずBは家に居ないようだった。
諦めずに隣の部屋の住人に聞いてみるとBのことは知らなかったが、
大家さんの連絡先を教えてくれた。
早速電話し事情を話そうとしたが、大家さんからの一言に絶句した。
「Bさんという方は知りませんが、この家に住んでいた人は1ヶ月前に引っ越されましたよ」
住んでいた人の名前も確認したがBではなかった。
無論、AとDにはこの事は話さなかった。

214 本当にあった怖い名無し 2013/11/10(日) 01:13:28.09 ID:e4SlLL0S0
出発の3日前が来た。
結局Bとは連絡が取れなかったので、予約した宿にキャンセルの電話をした。
3日前にキャンセルすること事態が申し訳ない気持ちだったので、
少しでも早いほうが良いのではと思い、朝一番で電話をしたのだ。

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