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正直足が震えていたが、嫌な予感がしつつも俺は両開きの扉をあけた。
予想通り彼はあの写真のままの姿でそこにいた。
手を突き出し、恐らくまぶたを閉じることができなかったのか目の部分には白い布が被せてあった。思わずひっと声がでて引きつけを起こしそうになった。俺の父親を含め全員がみたが、皆同じような反応をしており中には腰が砕けて立てなくなる者もいた。
全員が見終わって彼に謝ったあと、彼の両親が事情を説明してくれた。
腕をさげるには、もう肩も外れているため両腕を肩から切断するしかなかった。瞼もまるで皮膚がそこだけなくなったかのようになっており、閉じることができなかったという。
俺らはただただ泣きながらそれを聞き、彼の両親に謝った。
321 本当にあった怖い名無し sage 2013/09/11(水) 11:22:26.28 ID:sXth/BcE0
彼の両親はあなた達のせいじゃない。とずっと言ってくれたが、俺らはただただ謝るしかできなかった。その後泣きながら父親に連れられて家に帰った。
父親が帰りながら車中で、ふと警察で中年男性がしたのと同じ質問をしてきた。地図で説明していたのを聞いたので大体の場所を言うと父親もそこかぁと呟いた。その場では聞く気になれず、その日はそこで会話は終わった。
彼の四十九日が終わり、父親に葬式の日のことを聞いてみた。
323 本当にあった怖い名無し sage 2013/09/11(水) 12:17:51.15 ID:sXth/BcE0
父親は話半分で聞いてくれとの前置きをして教えてくれた。俺の祖父が父親に話したことだそうだ。
恐らく彼の原付が初めに故障したのは「かんのけ坂」とよばれている所だろう。今ではかんのけと訛っているが、昔は棺桶坂と呼ばれていた。少なくとも祖父が子供の頃はそうだった。
当時、棺桶をつくる仕事は(あくまでその近辺では)身分の低い人がする仕事だったそうだ。そのため棺桶一つの値段も安く、ひもじい生活をしていたそうだ。また差別もありかなり虐げられていたらしい。
そんな仕事で唯一儲かるのが特注品だった。例えば既成のものに入らないほど巨漢であるとか、なんらかの事情で既成の棺桶に入れられないケースに特注品を作るんだそうだ。
特注品の話を聞き、合点がいった。棺桶に入らないほどの巨漢などそうそういるものではない。
父親は続けた。手を拱いていたのが女性だという点でも思いあたる節があるという。祖父が子供の頃棺桶を作るのがとても上手な器用な女性がいたらしい。
その評判は周囲に広まり、気付くと特注品の注文はすべてその女性の所にいったそうだ。
325 本当にあった怖い名無し sage 2013/09/11(水) 12:24:16.45 ID:sXth/BcE0
既成品はある程度作り置きしているが、特注品は死後注文が入って死体が腐る前にすぐに用意しなくてはならない。
その女性は特注品であれど注文が入れば必ず次の日には棺桶を作り上げた。見た目もただの箱ではなく、装飾もちゃんとついておりとても一晩で作り上げたとは思えない出来だったそうだ。
丁度その頃不審死が相次ぎ、彼女はそれらの注文を全てこなしたという。