Categories: 洒落怖

奇妙な交流

この怖い話は約 3 分で読めます。

北条自体は何も無い町なんだけど、空港から俺の実家がある今治の途中になるので
毎年海沿いの国道を車で通り抜けていた。

で、その北条の外れ、海沿いの道の脇に、
昔から気になっていた穴があった。

おそらくは防空壕の名残のような気がするんだが、膝くらいの高さの穴が
道の脇にポカッと空いている。
今はその前を塞ぐように祠が立っているんだが、昔はむき出しだった

で、去年。
ここを通りかかるとき、子供が車に酔ったというので
この祠の前の道の脇に車を寄せて休憩することにした。

俺は昔から気になってた穴を見て「お~、始めて車から降りて見るな~」と懐かしさと珍しさで
祠の前にしゃがみ込み、中がどうなってるのかを見ようとした

つづきます

すると中からいきなりおばあさんの手がスッて出てきた
俺は思わず「うわっ!!!」って飛びのいた。

それは紛れも無く、おばあさんだった。

よく見えないが、中に人が入れる空間があって、
(もしかしてこの小山の反対側にトンネル状になってるのか??防空壕っぽいし)

懐中電灯と座布団、それとおばあさんの後ろに障子っぽいものが見えた。

おばあさんの首の辺り、肩、腕でほとんど塞がれて覗けないけど
なんというか銭湯の番台みたいな空間の雰囲気に見えた。

おばあさん(の口元)は俺に向かって
「何ですか??お車ですか??おこころざしですか??」と言う。

俺はまったく意味が分からず、
『おこころざし?祠の賽銭を催促されてるのか?これは観光用の何かなのかな?
お遍路に関係あるのか??』と混乱した。

おばあさんは「おこころざしですか??」と続けるので、俺はとりあえず財布から500円をなんとなく取り出し、
「あ、ではこれで・・」と手渡した。

次ラストです

するとおばあさんの手は500円を握り締めるとスーッと中に戻っていき、
中で懐中電灯をカチカチ付けて、何かをごそごそ探してる気配がした。

お線香の束とかが渡されるのかと思ったら、
また手がスーッと出てきた。
手には砂にまみれてるけど、「TUTAYA」の青い袋。

「もう今はこないしかないんだけどね」
おばあさんは俺にその袋を手渡した。

「???」
俺がわけがわからず袋を受け取ると、おばあさんが引っ込む気配がして
障子が閉まるような音がして、穴は薄暗くなり、覗いてもよくわからなくなった。

その辺で後ろから車も来るので、俺は車に戻り、
その場を後にした。

その後、袋を開けると中から
やはり砂まみれだったが 「今、そこにある危機」という映画のレンタル落ちと思われるディスクが出てきた。
フナ虫の死骸もまぎれていた。

以上です。全部実話です。
あれが何の穴なのか、後ろがどうなってるか知っている人がいたら教えて欲しいです。
何か奇妙な空間という感じではなく、番台のような、神社の受付のような、そういうもののように感じられたんですが、
しかし中がどうなっているのか構造がまったく想像できないのです。

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