Categories: 宗教

悪魔

この怖い話は約 3 分で読めます。

156 本当にあった怖い名無し 2007/05/25(金) 05:17:01 ID:YqmY+fAJ0
Aたちの車を見送って、家に上がる
声はまだ聞こえる

玄関を上がって居間に入ったところで、テレビを見ていた親父が振り返った
「おー、遅かったな。縁日で何か食ってきただろ? 晩飯あんまり残ってないけど、
食いたかったら冷蔵庫の中な」
「いや、いい。腹減ってないや」
「そうか。じゃあちょっとこっちこい」
そういうと親父は、俺を生活に使ってる家の隣に建つ教会へと連れて行った

大体親父に教会の方へ連れて行かれるときは、大事な話があるときか、説教されるときだったから、
俺は何かやらかしたかなと心当たりを探りながらも、少し緊張しながら切り出した
「それで、なに? 何か話があるとか?」
俺が聞くと、親父は並んだイスに座りながら、真剣な顔で言った
「お前、縁日に行ったんじゃなかったのか?」
「いや…縁日行ったよ」
「じゃあそれどこで拾ってきた」
「それ? …何が?」
「お前なら何も感じないはずがないだろう。どこか変なところに行ったんじゃないのか?」

この声のことか…
そう悟った俺は、縁日の後に行った廃屋のことを正直に話した
たぶん怒られるだろうな、と思っていたが、親父は俺の話を終始黙って聞き、
俺が話し終わったあともしばらくは何も言わなかった

「で、俺何か憑かれてるの? 悪霊(あくりょうではなく、キリスト教ではあくれいと読む)とか?」
「憑いてる。まあしょうもない霊はうちに入る前に逃げてくが、これは少しは根性あるかもな」
「大丈夫なん?」
「声が聞こえるほかに、何かあるか? 何か見えるとか、気分が悪いとか、どこか痛いとか」
「いや、声だけ…」
「なら大したことない。ほら、祈るからこっち来い」
言って親父は俺をそばに寄らせると、俺の頭に手を置いて祈り始めた

157 本当にあった怖い名無し 2007/05/25(金) 05:19:02 ID:YqmY+fAJ0
最初は日本語で祈っていたが、途中から異言(いげん:聖霊を受けた人が語る言語。
その人の内の聖霊が語りだすらしい。その言葉は本人にさえ何を言っているのかわからず、
必ず本人が知らないどこかの国の言語か、天使の言葉を話す。親父の異言はなんか
巻き舌っぽい発音だ)に変わった

さすがに聞きなれた親父の異言だけに、不思議な安心感が俺を包む
祈りが終わったとき、ずっと聞こえていた声は消えていた

「明日、その廃屋へ行った友達を全員連れて来い。他の子にも何か憑いてるかもしれん」
夏休みだったから、みんな集まれるはずだったので、俺は素直にそれを承諾した

親父は特に、一緒に行った女友達のことを心配していた
AやA兄のように、まったく怖がってない人間はそんなに危なくないらしい
そういう態度が逆に霊のちょっかいを呼ぶこともあるそうだが、その程度で
機嫌を損ねるような霊は小物で、そんな霊にはそれこそ幻聴や幻覚、悪夢、不安なんかを
引き起こすくらいしかできないそうだ
そういう意味で、怖かったであろう女友達のほうが心配だし、何より、
女は男より霊的攻撃に晒されやすいらしい
これは聖書の創世記で、サタンが善悪を知る木の実を食べさせるために騙したのがエヴァで、
そのエヴァに勧められてアダムもそれを食べてしまう、というエピソードに象徴されているそうだ
だから、男は女に弱く、女は悪魔に弱いと

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bronco

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