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372 本当にあった怖い名無し 2008/12/03(水) 05:03:49 ID:99AcDuXd0
出張で泊まったホテルでの話。

忘れもしない今日みたいな12月の寒い日。
S市に住んでる俺は、仕事の都合で一日だけA市に出張に行く事になった。
たびたび訪れてるA市だったけど、その日はいつも泊まるホテルが満室で仕方なく違うホテルを予約する事にした。
初めて利用するホテルだったけれど、そんなに古くも無くて最初は快適に過ごせた。

次の日の仕事がS市での会議だったため、早朝にチェックアウトをするつもりでその日
は普段より早く就寝した。
一時間くらいで目が覚めて、なんだか喉が渇いたので洗面所で水を飲んだ。
「ヒュルヒュルヒュル」
って音が聞こえてて、風か何かだろうとそのときはさほど気にも留めなかった。
ベッドに入りまた寝入ることにして、二時間くらいだろうか、また目が覚めた。

暖房をつけたままで眠ったためだろうけど、やけに喉が渇いて、また洗面所で水を飲む。
「ヒュルヒュルヒュル」
まだ音がする。隙間風が入ってくるんだろうか?見掛けによらず築年数は経っているのかもしれないとそのときは思っていた。
ベッドに入るものの、そう何度も目が覚めると寝つけにくくなってくる。
でも眠れなければ明日の仕事に差しつかえると思い、瞼は閉じたまま横になる。
「ヒュルヒュルヒュル」
音はまだ聞こえてて、ちょっとした音なのにいろんな想像を働かせた。
もしかしたら、暖房の設備の動作音の何かかもしれない。それが気になるせいで眠れないのかもしれない。
暖房をオフにした。
「ヒュルヒュルヒュル」
まだ聞こえてくる。いい加減この音に対してイライラし始めた。
心の中で「うるさい」と思った。
そのとき

「うるさいか?」
小さな声が聞こえた。遠くの方で。
一瞬、頭の中が真っ白になったが冷静に考えてもありえないと思った。

373 本当にあった怖い名無し 2008/12/03(水) 05:05:20 ID:99AcDuXd0
そしたらまた

「うるさいか?」

先ほどよりも大きな声。
ハッとして目を開けると
目の前ギリギリまでの所に顔が。
数秒その顔の目と見つめ合って、ゆっくり違う違うありえないと思いながら目を閉じた。
心の中ではどうしよう、どうしようとっずっと混乱していた。
でも、この信じられない状況のままではなにか身に危険が起こるかもしれない。
そう思ってすぐに目を閉じたまま起き上がった。
起き上がるとそこには何も無くて、でも、まだ居るかもしれないと思ってすぐに帰り支度を始め部屋を出る事にした。
支度をしている間も、部屋を出て廊下を歩く間も、エレベーターを待つ間も
「ヒュルヒュルヒュル」
と音はしていた。
フロントの従業員には何も言わず、すぐにホテルを後にした

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