この怖い話は約 2 分で読めます。
141 16/17 2011/06/02(木) 01:03:39.69 ID:nSHWcPHv0
「どうもお世話になります」と祖父が挨拶をすると
「いえいえ」と言いながら医師がふとんの中から
祖母の左手を引き出し、脈をみます。
そのまま5分ほど経ちました。
先生は窓の外を見ていました。私もそうしました。
空の光が紫から紺色へと変わり始めた頃、
祖母の頭がわずかにかくんと動いたように見えました。
胸の上でゆっくりと上下していたふとんが動かなくなりました。
先生は脈をとっていた手を
胸の上に置くと時刻を告げました。
何枚かの書類を作って祖父に渡すと先生は帰って行きました。
142 17/17 2011/06/02(木) 01:06:11.42 ID:nSHWcPHv0
外は真っ暗になっていました。
女衆が祖母を着替えさせていると、
外に葬祭業者の車が止まり祭壇が運ばれてきました。
そのまま通夜が行われ、翌日には告別式となりました。
49日が終わった日に祖母の位牌の一握りを持って
お堂のある岬に行きました。
皆で夕焼けの海に巻き、お堂に頭を下げました。
私も、いつか。
(了)