心霊良い話
本当の親子のよう

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678 名前: 1/6 04/09/28 08:26:27 ID:YAmMlNej

思いつくままつらつら書いたので長くなってしまいました。
苦痛な方はどうぞスルーしてください。苦労を支えあった義母との思い出です。

私が妊娠7ヶ月ごろのこと。大阪で娘家族と暮らしていたダンナのおかあさんが突然
東京にいる私達と一緒に暮らしたいと言ってきた。
義姉は性格がかなりキツく、あきれるほどお金に汚い人で、きっといろいろあったのだろう。
義母は「我が子ながら・・・くたびれた」とつぶやいた。
疲れ果てた義母を快く迎えてあげたかったのだが、そのときの私にはかなりの覚悟が必要だった。
なぜなら、ダンナは全く働かず、大きなお腹の私の収入でカツカツの生活をしていたからだ。
生まれてくる赤ちゃんにかわいらしいベビー服を用意してやるどころか、
ダンナの借金もあり、赤ん坊を抱えて今後どうやって働いていくのか先が見えない状況だった。

が、義姉の「かあちゃんそっちに送るからな!」という一言で私の心は決まった。
母親をまるで荷物扱いの口調が許せなかった。
何不自由ない生活は無理っぽいけど、今より心穏やかな生活はさせてあげれる。
今だって苦労してるんだし、お義母さん一人増えたところで苦労ついでだわ・・・
そう決心すればあとはなにも躊躇する理由はない。
私は最大限の歓迎の気持ちをこめて、義母を迎えた。
小さなカバンひとつ持って、駅のホームに降り立った義母の姿を初めて見たとき(この時が初対面)
私は心の底から安心感を覚えた。
それは義母に対する同情ではなく、実の母に対する愛情と同じものだった。
初めて会う人にそんな感情を抱くのが不思議だったが
前世というものがあるのなら、義母と私はその昔、本当の親子だったのかもしれない。
679 名前: 2/6 04/09/28 08:28:39 ID:YAmMlNej

実際、私と義母は本当の親子のように仲がよかった。
よく話し、そしてよく笑った。親子げんかもした。
仕事で遅く帰ってくる私を、義母は寝ないで待っていてくれた。
二人でホットミルクを飲みながら、寝るまでのわずかな時間、義母はアルバムを開いては
自分の半生を私に語った。
それはむすこであるダンナも知らない話ばかりで、語るというよりも私に伝える作業に似ていた。

私は女の子を出産した。
義母もとても喜んでくれた。そして私に、
「あんた、次もすぐだよ。次は男の子や。」そういった。
「ええっ!冗談じゃないですよぉ。これ以上はやってけないですよぉ。」
「いやいや。そうじゃない。これは決まりごとだからね。大丈夫。いい子に育つよ。宝物だよ。」
そう言って、義母はにっこり微笑み赤ちゃんにほおずりした。

出産したからといって休んでいる暇は私にはなかった。
なにせ食い扶持がまたひとり増えたのだから。飢えさせてなるものか。
退院するとすぐにまた働き出した。
そんな生活でも私は確かに幸せだった。
幸か不幸かは自分で決めるものだとつくづく思う。
義母も幸せであったと信じたい。
そんな中、義母が突然「大阪に帰りたい」と言い出した。
孫の顔も見せてもらった。あんたにも会えた。
次の孫の顔を見れないのが心残りだけどしょうがない。生まれ育った大阪で死にたい・・・・と。
とても元気な義母から「死ぬ」という言葉を聞き、不自然な不安を感じたのだが
引き止めてはいけないような気がした。
で、義母の気持ちに沿えるように、義母にはちょっと待っててもらって
お金の工面をしたり、義姉と交渉したりして、義姉の近所にアパートを借りることができた。

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