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入院時の話

他の病室が満杯だったために、
俺は手術後の患者が入れられる部屋ずっと入れられていた
そこに、おじいさんが入ってきたときの話だ

夜の12時 消灯時間を過ぎたが、豆電球をつけて本を読んでいた
さて寝ようかと、本から目を離したとき
俺の脚の方に相部屋のおじいさんが立っているのが見えた
何か用かと尋ねると、うんともすんとも言わず
自分のベッド方に戻っていった
このときはまだ疑問を抱く程度であった

それから眠りについて寝返りを打ったとき
寝ぼけ眼に、おじいさんが俺の左側に立っているのが見えた
これはさすがに只事ではないと思い
再度尋ねてみるが、おじいさんはやはり何も言わない
そして今度は俺ベッドの右側に来てなにやらキョロキョロとしている
何でもなかったときのことを考えると
ナースステーションに行って話をするなど到底無理だった

気味が悪くなった俺は、一度部屋から出てトイレへと駆け込んだ
しかし、何十分もトイレにいるのもまた気持ちの悪いもので
俺はしぶしぶ病室へと戻った

476 入院中の話2/2 sage 2010/08/06(金) 19:30:18 ID:yVWGHkuZ0
病室ではおじいさんが部屋の真ん中で、柱のように身動き一つせずたっていた
俺が入るなり、おじいさんは首を回して俺の方をじっと見ている
俺はこのとき初めて、身の危険というものを感じた

逃げるようにベッドへ入ろうとする俺の手をおじいさんの手が掴む
その手は、生暖かい液体(……恐らく血)で濡れていた
夢中で手を振り払うと、ナースコールを何度も押した

「どうしました!?」看護婦が入ってきて電気をつける
「おじいさんが……おじいさんが……」と俺
そのとき気づいたのだが、手に付いていたのは血ではなく、尿であった
「あら、●●さん、お漏らししちゃったの」
老人の周りには水溜りが……

次の朝、看護婦さんに教えてもらったのだが
そのおじいさんは自分が部屋を移された事に気づいておらず、
俺のベッドの位置が丁度、前の部屋から見たトイレの位置にあったらしい
聞かされた後で、怖さ倍増といったところか

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