電話と訪問客

この怖い話は約 3 分で読めます。

124 本当にあった怖い名無し sage 2011/09/29(木) 13:54:59.60 ID:JxYgkRGS0
友人が体験した話。
ここに載せて良いかと訊いて、了承は取ってあるが
「自分にとっては感慨深い出来事だったけど、よくある話だからウケないよ」
と笑われた。

まあ、載せてみる。

もう10年以上前の話だ。

高校生の頃、友人A子が1人家で留守番をしていると、家の電話が鳴った。
A子の家の電話は、廊下に出て玄関のすぐ側にあり、面倒臭いと思いつつも電話に出たそうだ。
「はい、○○です」
すると、受話器からは「バイバイ」と若い女の声がした。
まるで自動ガイダンスの声みたいに独特なくぐもり方をした声だったそうだ。
しかし、その「バイバイ」の言い方はガイダンスの様に淡々としている訳ではなく、
「バイバーイ♪」
と楽しそうな感じ。
本当に語尾に「♪」マークが合っている様な喋り方だったらしい。
125 本当にあった怖い名無し sage 2011/09/29(木) 13:56:00.06 ID:JxYgkRGS0
当然ながら不審に思って聞き返すA子。
「…どちら様ですか?」
「バイバーイ♪」
「あの…」
「バイバーイ♪」
「ちょっと!やめてよ!」
「バイバーイ♪」
こんな調子で全然埒が明かない。

すぐ切れば良かったのだろうが、A子にはその電話の主にちょっとした心当たりがあった。
当時付き合っていた彼の元カノが同じ学校で、会う度にしつこく「別れろ」と言って来ていたのだ。
これもその嫌がらせの一環なのだろうとA子は判断し、電話を切らずにこちらの言い分をぶちまけた。
「あのさーB(彼)も迷惑してんだよ」
「バイバーイ♪」
「こんな事しても私達別れないから」
「バイバーイ♪」
「嫌われるだけだって分かんないの?」
「バイバーイ♪」

本気でイライラし始めた矢先、呼び鈴が鳴った。

ピンポーン

127 本当にあった怖い名無し sage 2011/09/29(木) 14:02:19.61 ID:JxYgkRGS0
すぐ脇が玄関だから、目をそちらにやると、すりガラスに女性らしきシルエットが浮かび上がっている。
「はーい」
返事をして、不毛な電話は切ってしまった。
「少々お待ちくださーい」
と、A子は、ガラス戸をガタガタ震わせながら、昔ならではのねじ式の鍵をグルグル回した。
すると、その最中に女のシルエットが遠のく。
「あ!ちょっと、今開けますから!」

古い家なので、建てつけの悪さも手伝って鍵を開けるのには時間が掛かった。
訪問客は焦れて踵を返した様だった。
このままでは、留守番を怠ったと家の者に怒られてしまう。
A子はようやく開いた扉をサンダル履きで飛び出し、辺りを見回す。
坂道を下る銀ねず色の着物姿の女性が目に映った。
「待ってください!!」
A子も続いて坂道を下る。

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