放課後の教室

この怖い話は約 3 分で読めます。

300 1/6 sage 2008/09/07(日) 13:42:00 ID:+UQ/eS2f0
中2の文化祭の後、実行委員だった俺は反省会を終え、
俺が所属していたクラブの部室をちょっと片付けてから、
もう薄暗くなった廊下を歩いて教室に鞄を取りに戻ろうとしていた。
こんなに遅くなるなら、鞄持って反省会出ればよかったな、
と、実はビビり王の俺はすでに後悔していた。
誰もいなくなった教室が並んだ校舎は静まりかえって、
さっきまでの文化祭の興奮と喧噪の反作用みたいに、
夜中でも墓場でもないのに
「ここで生きて息をしているのは俺だけ」
みたいな寂しさと不気味さを漂わせていた。
足音を立てると何か怖いものに気づかれてしまうような、
そんな妙な気持ちに支配されて
俺はびくびくと、誰もいない教室が並んだ廊下を歩いた。

301 2/6 sage 2008/09/07(日) 13:44:42 ID:+UQ/eS2f0
教室の前まで来ると、もう皆帰ったろうと思っていたのに、
まだ女子が三人居残って、
机一つを囲んで座って何かしているところだった。
一人はこちら向き、
あとの二人は机を挟んで向かい合ってこちらには横向きで、
薄暗い中で皆顔を伏せているので表情はわからない。
こちらを向いて座っているのは俺がちょっと好きだったK、
他の二人はKと仲が良いMとYのようだった。

机の上には紙が置いてあって、三人とも手をその紙の上に置いて、
一心不乱に何か書くような動きをしている。
あれって「コッ○リさん」か?
おいおい、やめてくれよ。よりによってこんなときに。
夕暮れのこんな時間に、マジでなんか呼んじゃったらどうすんだよ。
そのころ俺の学校ではコッ○リさんが女子の間で流行っていて、
お告げが元でケンカが起きたりして問題になっていた。

302 3/6 sage 2008/09/07(日) 13:47:16 ID:+UQ/eS2f0
暗くなりかかった教室で、禁じられたまじないに熱中してる、
そんな彼女らの様子が怖ろしくて、
俺は教室に入るのを少しためらった。
だがいつまでも窓越しに見ているわけにもいかないので、
俺は、意を決してドアをおそるおそる開けた。
きいい。
意外に大きな音がしてしまった。俺はビビりMax。
俺の後ろでドアがばたん、とまた音を立てて閉まる。
しかし中の三人は顔も上げない。

俺が教室二、三歩入ると、
突然女子三人が糸であやつられたみたいに、
同時に顔を上げくるりとこちらを向いた。
目をまん丸に見開いて、口を三日月みたいに両端つり上げて、
薄闇の中に白目とむき出した歯を白く光らせて、
「きひひひひひひひひ」と彼女らは基地外みたいに笑った。

情けないけど腰が抜けそうになりながら教室から飛び出そうとすると、
いつの間にかドアの外にもう一人、
知らない女子が同じ笑い顔で立っていた。
目をまん丸に見開いて、三日月型に口を開いて。
女の口が大きく開き、俺を指さして何か言い始めた。

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