すさまじいこっくりさん

この怖い話は約 3 分で読めます。

いったい何人の人が私を覚えているのでしょう?
わたしはニヤニヤ笑う霊感者Sの話をここに書かいた者です。お久しぶりです。
このたびめでたくSと結婚することになりました。
許可を得たのでSのエピソードを書こうと思います。
(本人の強い希望によりやや毒気を抜いて描写していることを事前に断っておきます。)よろしいでしょうか。

彼女とは実は高校時代からの腐れ縁で、クラスではヘリウムガスよりも浮きまくっていたSはなぜか私にしつこく絡み友人に「あんな奴と付き合うのやめなよ」と言われる私を見てにやにやするような奴で陰口をたたいているといつの間にかすぐ側で聞いている、そんな不気味な奴でした。

ある日仲のよかった女子にこっくりさんのメンバーに誘われました。
道やらコックりさんについて詳しいやり方ののった本を読んだ子が試したがっているとの事です。
一晩きよめたお酒やメンバーのつばを混ぜた墨で表を描くなど、よく知らない私にも本格的だという印象がありました。

こっくりさんは男二人女三人で行い、全員の指の下でほとんど隠れた10円玉がいかにもちゃちでした。

Sは当然誘われていませんがいつものようににやにや笑いながら後ろで見ていました。

 

あとはオカ板の人々の予想通りです。突然日が翳ったように教室が暗くなり、10円玉が熱くなるほどの速さですべりだして、いやだ、○×(人名)しね、じごく、もうはなれない、などの言葉を綴りだし、女子の一人は急に白目を剥いて奇妙な遠吠えのような声を上げたあと半ば消化された昼食をそっくり吐き戻して失神しました。

(それでも指は十円玉から離れませんでした。全て終わった後は全員の指に水ぶくれができていて、何人かは筋も違えていたはずです。)
そんな中で一番恐かったのは私たちがスマイリーとあだ名するほどいつも笑っていたSが狐目を大きく見開いて唖然とした顔をしていたことです。

もう完全にパニックで私も知る限りの神に助けを求めました。
今だから白状しますが事前にトイレに言ってなかったら多分あとでかなり惨めなことになったはずです。
しかしそのときはそれどころではなくもう全員がパニックに陥りもはや肺の空気も使い果たしてひゅうひゅうと馬鹿みたいにかすれ声を上げているとSがかけよってきてお神酒をぐいぃっと飲み干して「もうお供え物はないっ。お前に供えるものはないから帰れっ!」と叫びました。

10円玉ががりがりと動き、「まだにくがある。」とつづりました。するとSは全員の腕や方に噛みつき「この肉も全部あたしの物だっ。」

と叫び返しました。それでも十円玉はいやだいやだかえらないかえらないと綴り続けるのをみてSは紙を破り捨てた後墨につばを吐きかけその墨で机の上に大きくYESと書き付けた。

そしてこっくりさんに「もう帰るんでしょ?」とたずねた。

抗おうにも机に上にはYESの一語のみ。十円玉は未練がましくふるふると震えた後動きを止め、指も離れました。

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