この怖い話は約 3 分で読めます。

251 (6/7) sage 2005/12/18(日) 01:28:21 ID:Uuc6/hu60
私が、俄には信じられない様子でいると、義父が優しく言った。
「A美ちゃんは大丈夫だ。宮司にしてみりゃ、手馴れたものだよ。信じようと信じまいと、
これからは、神仏の意味を理解してお参りすることが大事だなぁ。」

妹と義母は、元旦はH神社から帰らず、二日の朝に、家に戻ってきた。
A美は、H神社から戻った後、何事もなかったかの様に明るく振舞っていた。
私達は、三箇日をRの実家で過ごし、四日に東京へ戻った。
別れ際、義母がA美に、「一霊四魂。自分を見失わず、危うきには近づかず、直霊(ナホビ)に
て御魂が統治される様、何時もしっかりと自分の心に耳を傾けるんだよ。」と伝えた。
帰りの車中で、私は、妹に己の奇行を覚えているか訊ねた。
だが、妹は何も答えなかった。追究しようとする私を、夫が諌めた。

あれから一年近くが経ち、次の正月が近づいている。
私は夫と、今年も実家に帰る日程を話し始めた。
そんな折、私の家に遊びに来たA美が、どういう心境からか、件の一日のことを語った。

「去年の大晦日、私があの神社で、誰かの声が聞こえたと言ったの覚えてる?あの夜、私
は、誰かの声で目を覚ましたよ。目を開けると、辺りは真っ暗なのに不思議と良く見えた。
すると、天井の隅の方から、「あそんで、あそんでよ」と聞こえたから、私は声の主を探し
たの。その時、見ちゃった。天井を這って私に近づいて来たんだよ。裸なのに真黒な女の
子が。焼け爛れた皮膚が、所々、体からずり落ちていて、全身は黒焦げだった。その子は
逆さのまま、首をぐるりと捻って、大きな黄色い目で私を捉えて、嬉しそうに笑ったんだ。
更に怖かったのは、異常に長い髪の毛が天井から床まで垂れ下がって、その子が髪をずる
ずる引き摺りながら這い寄ってきたこと。」

252 (7/7) sage 2005/12/18(日) 01:29:01 ID:Uuc6/hu60
「それが、ゆっくり私の真上まで這ってきて、髪の毛が私の顔に被さった。で、赤い歯を
剥きだして笑ったんだ。そしたら、見る間に、その上半身だけが、ずずずっと天井から伸
びて、私の目の前に、女の子が両手を差し出して迫ってきた。」A美が言った。
私は、「それから後は覚えている?」と訊ねた。A美は頷き、続けた。
「その後は、私は灰色の空間にいたの。周囲に、丸いものが四つ漂っていた。少し離れた
処にあの子がいて、四つの玉を操る様子で、何か唱えてた。私は、動くことも、声を出す
こともできず、ただ立たされたまま、その光景を見ていた。四つのうち、赤っぽい一つが
極端に大きく膨らんで、激しく乱舞していたよ。それから、随分時間が経って、私はその
空間から引きずり出されたの。気が付くと、目の前に宮司さんがいた。」

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