厳選怖い話
鬼女

この怖い話は約 4 分で読めます。

どことは書かない。そして長い。
あまり怖くはないかもしれないが、これは、先日、友人から聞いた話。

ある気妙な経験から仏門に入った友人が、この震災を期にまたつきあいが始まったんだ。
震災後の安否確認の連絡網から、消息不明だった友人、
仮にAと連絡が付き、震災も落ち着いた頃に一緒に茶でも、と言う話になった。
ま、坊さんに酒でも、と言うわけにもいかないからね。

そいつは、大学時代オカルト研に所属していて、別の友人の帰郷先の昔話をオカルト研の
仲間と実践して酷い目にあって、紆余曲折の末今は僧侶見習いをしている。
と言うかもうじき一人前になるらしい、なにをもって一人前か知らないが。
今はずいぶんと修行の成果があったのか、学生時分の浮ついたところがなくなり、
落ち着いて昔話もできるようになった。
Aも仏門を叩くことになったきっかけの事件からも不思議な体験を重ねたらしく、
修行中出くわした出来事を話してくれた。

Aはお使いで関東のあるお寺に向かっていたのだが、何せ修行中の身、
駅からかなり離れているそのお寺まで徒歩で向かっていた。
これも修行の一環らしい。

その途中、山を削って通っている線路の上の陸橋を渡ろうとした時、
1人の老人が陸橋脇にしゃがみこんで、お地蔵さんに手を合わせていたそうだ。
Aも見習いとはいえ坊さんの端くれ、その老人のわきで手を合わせたんだそうだ。

すると、その老人はAにむかって深々とお辞儀したあと、Aをじっと見つめるとこういったんだ。
「あんた、鬼と何か関わったことがあるね?」
Aはびっくりして老人に問い返すと、老人はこの地蔵の事を話し始めた。

589: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 22:43:26.62 ID:SbZN7MgF0
「このお地蔵さんはな、鬼女を鎮めるためにあるからの」
老人の話だとこのあたりには昔、人を喰らう鬼女が住んでいたそうだ。
どこから流れ着いたのか、この山道(当時)通る村人や、旅人、子供をさらい、
時には色仕掛けで誘っては、むごたらしく殺しては喰らっていたそうだ。

もちろん、時の領主は討伐の兵を派遣したりもしたが、
鬼女の妖術の前には返り討ちに遭いなすすべも無く、
村人は時には何も知らない旅人をこの道、と言うか
坂に生け贄として向かわせたこともあったそうだ。

そんな鬼女におびえるある日、1人の旅の僧が村に訪れた。
僧は、はじめ村人に騙されて、鬼女のいる坂へと向かっていたが、
何やらただならぬ空気を感じ取り引き返して村人を問いつめた。

観念した村人は鬼女の話を僧にすると、僧はそれなら自分が何とかしようと言い、
日が良くないからと7日間の潔斎の後、鬼女の住む坂へと向かった。

その後、右腕を失った僧が村に帰ってくると村の長に、
坂に独鈷杵(どっこしょ)の刺さった石がある。それに鬼女を封じたが、
今まで罪のない旅人を犠牲にした村にも因縁がある。

そこで、その因縁を断ち切るためにも、腕を失った自分の代わりに手を合わせて鬼女を鎮めること、
鬼女の庵があるので、そこで鬼女に食われたもの達の墓を六つつくり慰めることを指示して、
僧自身は腕を無くした自らの修行不足を恥じ、山へと帰っていった。
その後、六つの墓のあったあたりは六石塚、鬼女がいた坂はどっこ坂と呼ばれるようになった。

590: 本当にあった怖い名無し:2011/06/21(火) 22:45:35.35 ID:SbZN7MgF0
どっこ坂ではその後も村の人が鬼女を鎮めるために、旅の僧の指示通り、
村上げての念仏が行われていたが、それでもときどき鬼女の影が坂を彷徨くことがあったらしい。
そんな風習も今では失われて、地名も変わってその名前を覚えているのは年寄りだけだったらしい。
そんな失われた風習が今でも残っているにはそれなりの理由があった。

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